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(真緒side)
「へぇ…見た目ボロいけど中は綺麗じゃん」
「兄さん…なんで……」
久しぶりに会った兄さんは畳に座るとタバコに火をつけた。
「…誰?」
「え…」
「タバコ。お前吸わないだろ」
視線の先には朝、葵さんが吸ったタバコの吸殻が灰皿に残されたままだった。
「これは、職場の人の……」
「職場ぁ?お前、何してるわけ?」
その質問に答えられず、黙ってしまう。
「ま、なんでもいーけど。俺には隠しきれないって、分かってるよな」
「っ………」
笑みを見せてこっちを見る兄さん。
嫌な汗が背中を伝う。
「それより、せっかく再会したんだ。…ちゃんと”アイサツ”できるだろ?」
その言葉に、俺は拒否する術を知らない。
「っぁ、ふ…」
「は…相変わらずこっちのセンスだけはあるな」
「ん、んんっ……」
髪の毛を痛いくらい握られて、無理矢理上下に揺さぶられる。
…あの日々と同じ。
辛くないのに、悲しくないのに。
感情なんて、忘れたのに。
生臭い、トイレ臭い雄が喉を突くたび、涙が溢れた。
「逃げたって、絶対探して見つけ出してやるから。…俺からは逃げられないんだよ、お前は」
「っ、ぁ、ん、んんっ…」
…嫌だ。
考えないようにしてた言葉が頭を駆け巡る。
「お前みたいなクズ、性欲処理の道具にしかならねぇよ」
分かってる。
自分がそれしか必要も存在意味もなさないこと。
なのに、俺はあの人を…
「は、出すから…全部飲めよ!」
「ぅ…ぐ…んーっ……」
「っ…」
口内に放たれる生ぬるい液体。
吐きそうになった。
飲みたくなかった。
でも、俺には拒否権なんかないから。
葵さん…
想ってはいけない人の顔が、瞼に浮かんだ。
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