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風邪
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ー翌日。
「あ・お・いっ」
ぎゅー!
「…普通に挨拶できねぇのか。お前」
毎日毎日…
店に着くなり今日は正面から勢いよく抱きついてくるカイ。
「俺にとっては普通!てかさ、真緒は?今日まだ来てないんだよー」
「まだ?」
もう開店すんのに。
「そう!いつもなら来てんのに。…ホントにもう来ないのかなぁ」
昨日とはうって変わって俺を責めるわけもなくショックを受けてるカイに、俺はまさかと思った。
根拠は何もないけど。
「…さぁな。遅刻なんじゃねーの」
「んー、だといいけど…」
そこで会話は終わって慌ただしく店はオープンした。
ーーー
「たく、アイツ何してんだよ」
そう呟きながらボロボロの階段を上がってく。
結局アイツは来なかった。
連絡もなし。
まぁ、携帯持ってねぇからなんだけど。
高山さんと社長に言われ、仕方なく様子を見に来た。
ーガチャ、
「真緒!入るぜ」
言いながら部屋に入るとすげー涼しかった。
真緒はと言えば布団に横たわっていた。
まだ寝てんのか、コイツ。
「おい。ま…」
近くに寄って見たら、様子が明らかおかしかった。
呼吸は乱れてて顔は真っ赤。
「どうし…って、あつ!」
その額に触れれば案の定熱くて。
とりあえずクーラー消して、窓を開けて冷気を逃がす。
まさか俺が帰った後から付けっぱなしだったのか?
コイツ体温低いからあんま使わねーし。
「ん…っ……」
「…薬は?」
よかった。
意識はある。
だけどその問いに首を左右に弱々しく振った。
…なさそうとは思ったけど。
「買ってくるから寝てろよ」
布団を掛け直して、俺は立ち上がろうとした。
だけど…
「……ゃ、っ…一人に、しないで…」
そう言って切なく紡ぎ出された言葉。
弱々しく俺の服を握ってきた。
「すぐ戻って来るから」
「ぅ、ゃだ…やだ……怖い…」
「………………」
俺だと知ってて言ってるのか、誰かと間違えてるのかわからないけど…
ただ、離れられない事だけは分かった。
だからと言って薬飲ませないわけにもいかない。
仕方なく、俺は携帯を取り出した。
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