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「…真緒、帰ったぜー」
携帯の説明受けてたら遅くなってしまった。
待ちくたびれてんだろーな。
でも、部屋に入るとやけに静かで。
電気をつけたらアイツはいなかった。
「は?どこ行った…?」
布団乱れてるし、テーブルもズレてる。
下には灰皿が落ちて、灰が散乱していた。
何、誘拐?
「いやいや…まさかね!」
ガキだけど流石にそれは…
「どっか出かけたのか?アイツ」
風邪治ってきたから外出たくなったとか。
にしてもわざわざ夜に?
「アンタ、ここの住人の身内?」
「!?」
考えを巡らせてたら、背後から声を掛けられた。
ビビった!
振り返ると見たことないメガネ男で。
「…身内ではねーけど、何?」
「俺、下に住んでんだけどここの住人ドタドタ煩いんだよ。ここ最近、特に」
…それってもしかしなくても。
何となく心当たりがある。
「あー、悪りぃな…」
ここ古いから他のアパートより音響くのは知ってたけど。
まさか他の住人がいるとは思わなかった。
「全く…さっきもうるさかったんだよ。今度から気をつけてくれ」
「はい、は…」
って、さっきも…?
「それって今日のことか?」
「当たり前だろ。君はバカか」
バっ…!?
カチンときたけど何とか堪えて、話を進める。
さっきなんてアイツ一人だったはず…
「どんな風に?」
「あー、いつもより酷い音だったな…。兄弟喧嘩かと思ったけど」
「兄弟喧嘩?」
「兄さん、とか聞こえたから」
…兄さん……
アイツ、そー言えば兄貴いるって言ってたっけ。
「とにかく!今後は気をつけてくれよ」
そう言ってソイツは部屋を出て行った。
「兄貴が来たのか…」
にしても会って早々喧嘩って。
アイツがするように見えねぇし…
風邪もひいてんのに。
気になっても連絡とる手段がないからどうすることもできない。
「まぁ、すぐ帰ってくんだろ…」
仕方なくズレたテーブルを直して、買ってきた弁当と携帯を置く。
でも結局、朝になってもアイツは帰って来なかった。
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