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「あ…侑くん」
休日の訪問客をナギは意外に思った。
今時の青少年にしては律儀な幼馴染みは、休日に家に来る際には必ず連絡を寄越すから。「いきなり来て悪い」と侑はバツが悪そうに頬を掻く。
「お前に相談したい事があってさ…」
元気がない。前に会った時より少し痩せた侑にナギは「う、うん」と頷いた。
「僕で役に立てるか分からないけど…とりあえず、あがって」
「ああ。お邪魔します」
ナギが促すと侑は畏まって後に続いた。鶯張りの床が二人分の重さで所々鳴く。
実砂緒は特に礼儀に関しては厳格だ。「大丈夫、今日はお祖母ちゃん居ないから」と、ナギは緊張しているのであろう同年をリラックスさせようと後ろを見る。
「…侑くん?」
しかし、肝心の幼馴染みは明後日を向いていた。
ナギがその視線を辿るとお縁に行きつく。広い庭と、祖母の趣味である盆栽が視界に入る。家人には見慣れた光景だ。
「ど、どうしたの?何かいた?」
野良猫でもいたのだろうか。訊ねると、侑はようやくナギに顔を向ける。なんだか心ここにあらずの表情だ。
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