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忘年会6(完)
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「すみません柳本さん…俺、ずっと嫉妬してたんです。柳本さんと気安く肩を組んだ佐藤さん、忘年会中に柳本さんを厭らしい目で見ていた同部署7人、他部署13人の社員ども、そして、彩子さんににこりと微笑んだ貴方自身にも」
コツンと綾夜くんの額が僕の頭に当たった。
脳みそが、うまく働かなかった。
綾夜くんの言葉が信じられない。
彼が怒っていた理由。それは…全て、僕に対してのヤキモチだったってことなの…?
「まっ、待って…綾夜くんが怒っていたのって、もしかして僕のせい…?」
「…三分の一はそうです。否応無しに周りを惹きつける貴方に本当嫉妬しまくりでした…。でも、大方は俺自身についてです」
「りょ、綾夜くん…自身?」
「……そうです。柳本さんを喘がせて、周りがドン引けばいいとか思ってました。でも結局、ローターを稼働させられて色っぽく頬を赤く染めてる貴方を、何人もの人に見せてしまっただけなんですけどね」
「ッ〜!」
弱々しく言った綾夜くんが、たまらなく愛おしく感じた。
何よりも、彼が僕をそこまで想っていてくれていることに、どうしようもない幸福感を感じた。
「綾夜くんっ!」
「っ、柳本さん…?」
ぎゅーっと力一杯彼を抱きしめて、薄い胸の中に顔を埋めた。
「もう…本当に、僕は綾夜くんが大好きです。好き、大好き…ものすっごく好き…。ね、どうやったらこの気持ち綾夜くんに伝わるんだろ…?大好きなんだ…本当に、君が大す」
「ッ〜〜も、もういいです!」
止めることができない、大好きな気持ち。それを綾夜くんに一生懸命伝えていると残念なことに途中で遮られてしまった。
上ずった声に興味を惹かれ、彼の言いつけを破ってチラリと上を仰ぐと、綾夜くんは見たことのないような真っ赤な顔をしていた。
耳まで赤く染めて狼狽えている綾夜くんの姿を見るのなんて初めてで、ぎゅうっと胸が締め付けられた。
そんな恋焦がれる瞳で彼の顔を見ていると、バチリと視線が絡んでしまった。
「っ、柳本さん、見ないでくださいって言ったじゃないですか…」
「い、いや、だって、そんな表情の綾夜くんなんて中々見れないし!…見なきゃ損というか…ほ、本当に僕は君が好きで好きでたまらないからその…っ」
「も、もう分かりましたから!…俺を煽った挙句、言いつけを破るような悪い子にはお仕置きですよ…もう忘年会なんて戻しませんからね」
ようやく視線を交えることができた僕はたったそれだけのことに幸せを感じた。まだほんのり顔が赤い綾夜くんに顎を取られ、さっきより視線と視線が深く絡んだ。
綾夜くんが大好きで大好きで、そんな気持ちを更に大きくさせながら、僕はゆっくり目を閉じた。
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