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幸穂×智風2
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思い返すは1年前の昨日。つまりはエイプリルフール。
『俺、実はずっと前から幸穂のこと…好きだったんだ!』
『…へぇ、それは奇遇ですね。僕も前から先輩のこと好きでした』
『……ほえ?』
嘘の告白をして、色々あって、幸穂との距離が嫌な方向にめっちゃ縮まったあの日。
今思うと、その時の俺は本当に何も考えていなかった。
ただたんにエイプリルジョークとやらを利用し、無口な、けれど野球への思いは人一倍強い後輩と仲良くなろうと思っただけなんだ。
それがまさか、処女喪失に繋がってしまうなんて世界中の誰もが思わないよ。
『あ、ああっ、ゆき、ほ…激しっ…!』
『ゆっくりの方がいいんですか?』
ーーずちゅ、ずずっ
『やっ、ぁああ!』
薄暗い部室での一コマ。
今でもその光景が脳裏に浮かんでしまい、本当に恥ずかしい。
こいつに嘘の告白をしたあの日から、毎日が幸穂との貞操戦争に変わった。
『おはようございます先輩』
『ひぃっ!このっ…、いきなりケツを触るな!!』
『じゃあ乳首ならいいんですか?』
『いいわけあるか!アホ!!』
会うたび会うたび、(主に尻を触るという)セクハラを受け、
『おーおー今日もやってんなぁ!朝からお盛んなこと♡』
『幸穂ー。今度の試合活躍できたら智風先輩チューしてやるってよ』
『…(๑˃̵ᴗ˂̵)و !』
『はあ!?しねぇわ!幸穂も嬉しそうにすんなバカ!』
『…( ; ; )』
『っ、落ち込むな!!』
会うたび会うたび、周りの連中にラブラブと冷やかされ、何度ツライ思いをしたか…。
いつもいつも断りきれなく(というか断っても理解してもらえず)今日この日があります。
だが!今日の俺は一味違うぜ!
ちょうどいい機会だし、俺はこれから、幸穂にズバッと言ってやるつもりだ!
「もう関わりません。さようなら、先輩」
ーーってな!
……って、あれ?
先輩…?
「今まで迷惑かけてすいませんでした。俺とのことは忘れてください。それでは」
「…ぇ……?」
驚きのあまりすぐには反応できなかった。
今日俺は幸穂に、『いい加減にしろよ!もうお前とは関わらない!』と、啖呵を切るはずだったんだ。
それなのに、こいつは。
ーーもう関わりません。さようなら、先輩
歯切れよく、淡々と、一方的にそう告げた。
その言葉を理解するために、頭が上手く働かなかった。
「っ…ぉ、おい…!」
口ごもってしまった言葉は、すでにグラウンドへと向かった幸穂には届かなかった。
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