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幸穂×智風4
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「…つきましたよ」
「お、おう…」
「先生いませんね」
「お、おう…」
強制的に俺を保健室まで運ばせ、先生に手当てしてもらおうと思ったのだが、残念ながらその姿はなかった。
どうやら出張中らしい。
グラウンドからはメンツの頑張ってる声が聞こえてくる。
時刻は11時48分。今日は午前練だけの予定だからもうすぐ練習は終わってしまう。
グラウンドから聞こえてくる音に耳を傾けていると、なにやら幸穂がゴソゴソと探し物をしだした。
保健室の戸棚という戸棚すべてを開き、乱雑にかき分けている。
「なに、やってんの…幸穂」
声が詰まりながらも問いかけてみると、
「何の為に保健室まで運んばせたですか?湿布を探してるん……あ、あった」
そう言って幸穂がむくっと立ち上がり、少し大きめの湿布を俺に手渡した。
「どうぞ。あとはそれ自分で貼ってください。俺は部活戻るんで」
幸穂がくるりと後ろを向いた。
そのままスタスタと歩いて行ってしまう。
目も合わせずに、まるで逃げるように去ろうとする幸穂に、胸が苦しくて仕方がなかった。
「幸穂…まっ、て……」
ぽつりと声が漏れてしまった。
「……」
蚊の鳴くような声だったのに、幸穂は歩みを止めてくれた。
しかし、こちらを振り返ることはなかった。
「ぁ…うんと……」
聞きたいこと、言いたいことは山ほどあった。
なのに、言葉にはできなかった。
「……」
「………」
重い沈黙が空気を満たす。
必死に言葉を模索するが、頭が上手く働かず言葉を紡げない。
幸穂を繋ぎ止めておける言葉が、見つからない。
もう二度と、幸穂と前のように接することはできないのだろうか。
優しく抱きしめてくれることは、甘くキスしてくれることは、二度と、ないのだろうか。
落ち込んでる時に励ましてくれて、俺が成功した時には同じように喜んでくれて、俺は、俺はずっと、幸穂に支えられてきた。
強引なところも、話が通じないところも、なんだかんだ言って俺は大好きだったんだ。
でも、もう…
もう、そんな関係は終わりなのだろうか。
「ッ…」
つう、と、雫が頬を伝った。
そんなの、絶対にいやだ。
「先輩…、なんで泣いて…ッ」
「っ、ぅ…泣いて、ないッ…」
ポロポロと涙が零れる。
止めることは不可能だった。
「っひ、く…今更、捨てんなよ…バカっ…!」
「え…?」
「お前なんか、っ、変態で…アホで天然で…っぅ、…俺のこと好き勝手した、くせに…っ、今更…捨てんな…」
「っ、なんで…なんでそんなこと、言うんですか……」
幸穂はゆっくりと近づき、ベットに腰を下ろす俺の前にくると苦しそうに顔をしかめた。
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