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「またみーくんと喧嘩したの? いい加減飽きない君」
突然頭の上から降ってきた声に顔を上げれば、秋都が覗き込むように俺を見下ろしていた。てかいつの間にこいつ……。
「人の部屋に入る前は声かけろって言ったのはお前が先だぞ」
「いいでしょ、僕はお兄ちゃんだし」
「どーゆう理屈だよそれ……」
ふと。状態を起こして後ろへ立つ秋都へと向き直った時。
「なんだよそれ」
秋都が手に持った一枚の皿の上に転がる歪な形をした白い物体。それがオニギリだと認識するには有に一分はかかっただろうか。
「母さんの手作りオニギリ。海都に持っていけって頼まれたんだよ」
「……またキッチンに入ったのかあの人。ちゃんと後処理したんだろうな」
「大丈夫だよ、後片付けは僕がしてきたから。炊飯器は水没してたけどね」
「あ、そう……」
俺達の母親である咲湖は、日本舞踊・茶道・華道・琴に至るまで、こと芸能に関しては天才と呼ばれている程の才女だ。性格もいいし、母親としても尊敬している。
だが、そんな彼女にも唯一苦手としている事が一つある。それが料理なんだ。
米を洗剤で洗う。生卵を割らずにレンジにいれて爆発させるのはまだ可愛い方。この間はどこから取り出したのか生ハムのブロックをバーナーでまな板の上で炙り出した時には流石に……。
勿論プラチック製だったまな板はドロドロにとけ、挙句ハムは真っ黒けで炭の状態。
本人は人並みに出来ていると認識しているらしいけれど先日ついに小さな家事をおこしてしまって、キッチンを聖域だと謳っている鈴兄貴をマジギレさせてしまったという過去がある。
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