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それって多分。いや、あいつに限ってそんな事……。
「一応、遠慮した……とか?」
まぁまずありえないだろうと思いながら口にしてみる。え? と首を傾げた鈴兄貴に
「あんたと秋都がやりあってるの、知らねーだろばあちゃんも母親も。だから秋都なりに譲歩したんじゃないか……って」
俺のその憶測に案の定兄貴は「まっさかぁ」とケラケラ笑い声をあげた。
「今まであんだけ喧嘩ふっかけといて今更そないな事するかい。秋ちゃんやったらところ構わずあの小悪魔な笑みで俺をぎったんぎたんにするに決まっとるわ」
ぎったんぎたんて……こいつ実の弟の事なんだと思ってんだ?
「わかんねーぞ。あいつ変な所で気ぃ使いだし。あんたもよく知ってるはずだぜあいつの性格」
脅しを含めた声で言えば、ピタリと止まる笑い声。代わりに現れたのはこめかみを伝う汗だ。
「あいつ昔っから溜め込んで最終一気に爆発させるタイプだっただろ。今回もそうかもよ」
「怖い事いうなや……」
「本当の事だ」
その沸点の矛先が俺なんだぞ。少しぐらい脅すくらいがなんだ。あいつが機嫌悪くする理由なんて鈴兄貴の事以外にはない。言い換えれば、あいつの中で鈴兄貴の事以外で感情を揺さぶられるものがないって事なんだ。
てことはだ。今でもあいつを一番に占めているのは鈴兄貴、って事なんだよ。秋都自体がそれに気付いているのかは甚だ疑問ではあるが。
「あんたと秋都の間に何があったかはぶっちゃけ今でもわかんねーよ。けど、もう逃げないって言うならいっそ秋都と1発やっちまえば?」
「ぶっ……」
オブラートにもつつまず言った発言に、鈴兄貴が吹き出す。
「なっ、なんちゅー事言うとんじゃこのクソガキ! 子供の前でハレンチな!!」
ガシッと茉利の両耳を塞いで怒鳴る。珍しく顔を真っ赤に染めていてた。いつも飄々とした姿からは想像出来ない程の慌てぶりだ。
「どーせわかりゃしねーよ。5歳のガキがSEXを理解出来るかよ」
「おだまり! それでもやな、そんなハッキリした言葉は聞かせたらあかん。情操教育上よろしくないわ!!」
チッ、一々うるせーな……。
「おいチビスケ」
耳を抑える兄貴の腕をベリっと引きはがすと名前を呼ぶ。青い瞳がなんだと問い返してくる。
「飯、出来てんだろ。お前先に行って食ってろ」
「茉利はすぅと一緒に食べる」
「じゃあ話が終わるまでどっか行ってろ。今からは大人の時間だ」
不機嫌そうにぷくりと頬を膨らませるけど、さっさと行けと顎をしゃくれば「わかった」としぶしぶ立ち上がり襖の奥へと消えていく。
その背中を見送った後、さて、と手を叩いた。
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