アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
朝
-
耳慣れたアラームに意識が浮上した。
朝だ。
起きなくちゃ。
ああ、でも布団が心地よい。
疲弊した体と脳みそは、この体勢が最良だと訴えている。
ギュッと掛け布団を抱き込むと、また意識が沈んでいった。
布団から良い香りがする。
自分の匂いじゃないのに、とても落ち着く匂い・・・。
「・・・ぁ・・・・・・」
アキラさんだ。
パッと目を開くと目の前に愛しい顔があって、途端に血の巡りが良くなった。
いつもは重たい前髪に隠された白い額を惜しげもなく晒して。
何処か不安そうに揺れる瞳は、血管の透ける瞼に隠されている。
平和な表情と気持ち良さそうな寝息に笑みが浮かぶ。
天使じゃないかな、この人は。
寝顔を見るのは初めてだ。
いや、昼寝の顔の写真は持っているけれど。
こんなに近くで堪能するのは初めてだ。
感動で溜息が洩れる。
ここはアキラさんの部屋・・・。
物が少ないわりには散らかった部屋に視線を巡らせる。
あ、あの割り箸、欲しいなあ。
食べ散らかしたコンビニの弁当の脇に転がる割り箸が輝いて見える。
外からは何度も眺めた事はあったけど中に入ったのは初めて。
今更ながら、自分に許されたこの幸せな状況に胸が弾んでいた。
そうだ、昨夜、思わず来てしまったんだっけ。
アキラさんがバーに行ったのを知って、いてもたってもいられなくて。
練習を抜け出して、来てしまった。
行動を把握するのも考えものかもしれない。
手に入れた情報に振り回されてしまう。
とは言え、把握できないなんて不安で仕方ないだろうから、止めようとは思わないけれど。
恋人に昇格させてもらったのに、根本は変わらない。
我ながら不穏だと苦笑しながらスマフォのディスプレイを確認する。
・・・いつの間に寝てしまったんだろう。
・・・・・・なんで、こんな所で寝てるんだろう。
ワンルームとは言え、こんな玄関の脇に布団を伸べるのは・・・どう考えてもおかしい。
普段は奥の右側、テレビの横に万年床があったはずだ。
・・・・・・。
ああ。
そうか。
嬉しくて、思わずその魅力的な額にキスをしてしまった。
ん・・・と眉間が寄って瞼が揺れる。
おっと。
起きちゃったかな?
ぱち。
音がする程に勢いよくアキラさんの目が開いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
40 / 94