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番外編4:お好きです?(4)
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深雪のサイドの髪が一房崩れてオレの頬にはらりとかかった。
それをかきあげる様から目を離せない。
とか。
ちげーし。
近いから、視界いっぱいに深雪が映ってるから、であって。
見とれてるわけじゃねえ。
細められたまぶたの向こうから艶めいた黒い瞳がオレを見つめてる。
・・・あの瞳に、オレはどう映ってんだろう。
こんなナリして、お前に大人しく組み敷かれているオレは。
心臓が煩い。
深雪に聞かれちまう。
気づかれるくらいならいっそ止まっちまえよ、なんてやけっぱちに思う。
「・・・可愛い」
違う。
可愛くなんてねぇ。
深雪の目の前から立ち消えてしまいたくて目を閉じる。
オレが目を閉じたって事実は何一つ変わりゃしないってのに。
滑稽だ。
わかってる。
でも見つめられているという事実から目を逸らしたい。
「・・・アキラさん」
やめろ。
そんなに切なげに呼ぶんじゃねえよ。
「アキラさん」
「ん、だよ」
ぎゅっと抱きしめられて、ほんのり冷たい額ランの生地に顔がうずまった。
真新しい独特の臭いの向こうに、深雪の暖かさを探してしまう。
体温に、滑らかな肌に、触れたい。
とか。
ああ、もう嫌だ。
「震えてます」
「・・・っ・・・」
「怖いですか?」
「・・・ねえよ」
「すみません」
「るせ」
ああ、畜生。
畜生。
深雪に謝らせたかったわけじゃねえ。
オレだって。
プレイの一環とかさ、・・・分かってんだって。
楽しめばいい。
ずっとそやってきたじゃねえかって、自分でも思う。
そうやって相手が望むよう誘って、一時の快感を楽しんで、それで満足。
興醒めだろ?
こんな格好までしといてさ。
なにやってんの、オレ。
こんな格好。
なあ、しねえとダメか?
しねえと、なあ、オレはお前に愛してもらえない?
「調子に乗りました」
こつん、と額に触れた暖かさに目を開く。
何がだよ。
調子に乗らされたのはオレだろう?
近すぎてぼやける深雪の瞳を覗き込む。
「単に見たかったんです」
「?」
「高校時代のアキラさんを」
「ん?」
「ぼくの知らないアキラさんを、全部知りたくて」
「ハ?」
思わず声を上げるとゆっくりと離れていった深雪の顔面が、アイドルみたいに爽やかに微笑む。
「赤ちゃんのころから、ぜーんぶ知りたいんですよね」
「・・・ハ?」
「今度、赤ちゃん、しませんか?」
にこにこにこにこ。
キラキラキラキラ。
完璧な笑顔を呆然と見つめる。
赤ちゃん?
しませんか?
・・・・・・赤ちゃんってのはな!
「お前が生まれ変わって来い!」
するしねえのもんじゃねえ!
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