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アルバムをなぞる指先の決断9
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結局…、
事故から4日目のその日も…
神さんは目を覚まさなかった…。
僕は神さんに何もできず。
百目鬼事務所を守るために働いた。
だけど、みんな僕に気を使ってて、簡単な仕事しかさせてもらえない。もっとみんなの役に立ちたいのに、優秀な杏子さんと檸檬さん、それに新しく入った高霧さんでほとんど回ってしまう。
まぁ、そうだよね、神さんの仕事量減るように、高霧さんを雇ったんだし、彼は元々神さんの下で情報屋やってたから、ある程度百目鬼事務所を知ってるし。
みんなには家で休んでてって言われちゃうし…
携帯は鳴らないまま……
翌日、大学に行き、帰って事務所を手伝い
杏子さんに事務所のことは心配ないからと気を使われて、自宅に戻る。
静かな家の中で、ならない携帯を眺めるしか、僕にできることはない…
ーピリリリ♪ピリリリ♪
!?
鳴った!!
マキ「はい!マキです!」
鳴った携帯に飛びついたら、相手の驚いた声が聞こえて、その電話は、蘭さんからじゃなかった。
緋色『もしもしマキちゃん?大丈夫?』
緋色さんからの電話に、一瞬「なんだ…」と言いかけてハッとした。
マキ「あ、驚かせてごめんね、なんでもないんです。ちょっと電話まちしただけ、それより緋色さん、こないだはありがとうございました」
緋色『いいのいいのお礼なんて、俺は送っただけだから。…ところでさ、マキちゃん』
マキ「はい」
緋色『あの日、無事に着いたって連絡はもらったけど、預かってる買い物袋はどうするのかと思って』
あっ!
完全に忘れてた。昨日まで預かってって言ったのに、昨日は、神さんに会えなくて…
マキ「ご、ごめんなさい、今から取りに行きます」
緋色『いいよいいよ、俺車だから届けるよ』
そんなことを言われても、僕が住んでるのは百目鬼さんの家と事務所があって、看板に百目鬼って書いてある…、緋色さんに百目鬼事務所の場所を教えるわけにはいかない。
マキ「あ、いや、今バイト先だから」
緋色『ついでだから送ったげるよ』
マキ「…迷惑かけてるしこれ以上は」
緋色『ないない、迷惑なんてないから気にしない気にしない。で?どこにいるの?正月に行ったあたりに行くからね』
緋色さんは強引だけど、口調は優しくて、気を使ってくれてるのは分かる。
だけど、今は少ししんどい…
まぁ、これ以上拒んでもおかしな話になっちゃうから、正月に奏一さんと緋色さんが迎えに来てくれた場所で待ち合わせをした。
そこは百目鬼事務所から離れた大通り沿い。
最寄駅も距離はバラバラだけど3つあるから、どこに住んでるかは特定できない。
待ち合わせ場所に来た緋色さんは、わざわざ車を近くの駐車場に止めて降りてきた。
緋色「マキちゃんおまたせw」
マキ「わざわざありがとうございます」
緋色さんは僕の顔を見るなり、いきなり両手で僕のほっぺを掴んで急接近して顔を覗き込んできた。
緋色「あーあ、やっぱり」
マキ「んにゃ?!なに!?」
緋色「元に戻っちゃってる」
眉間にシワを寄せた緋色が、困ったように口を尖らせた。あまりの至近距離に、緋色の手を外そうとしたけど、びっくりするくらい動かない。
ボクシングやってたというその腕は、引っ張っても引っ張っても僕の力じゃびくともしない。
マキ「離してくださ…」
緋色「彼氏さんとなんかあったでしょ」
!?
あまりにも唐突な言葉に驚いて、思わず緋色さんを見たら、緋色さんは「やっぱり」って1人納得してる。
え?なんで?
なんでそんなこと分かる?
奏一さん?
え?神さんが事故にあったの奏一さんの耳にも入ってた?
っ…いやいや、そんなわけ…え?
緋色「あははw、珍しく顔に出た」
マキ「違っ…」
緋色「いやいや、分かるよ。だって、買い物の材料は、昨日恋人に振る舞うはずだったものだろ?なのにマキちゃん取りに来ないし。なんかあったんでしょ?」
マキ「…」
緋色「マキちゃん、一昨日新幹線乗る時、奏一さんに言わないでって言ってたけど、奏一さんに相談できないことなの?また、顔色悪くなってるよ。奏一さんはマキちゃんの恋人と知り合いなんでしょ?」
なんて説明すればいいんだろう。
神さんのことがあっていつもみたいに頭が働いてない…、それもあるけど、緋色さんはなんだか奏一さんみたいに鋭くて、下手な嘘は直ぐバレる…
緋色「…ねぇ、マキちゃん。奏一さんがね、いつもマキちゃんのこと心配してるんだ。奏一さん心配性で過保護だから修二のこともしょっちゅう心配してるけどね。奏一さんの大事な弟の修二と同じくらい、マキちゃんのこと心配してるんだ。もう、奏一さん、修二の話してるかマキちゃんの話してるかなんだよ。……奏一さんは良い人だしめちゃくちゃ頼りになるよ。奏一さんには、相談したら?」
そんな奏一さんだから、心配かけたくない。
それに、奏一さんに言えば修二達に伝わる。
神さんの意識が戻ってない今は、みんなが不安になるだけだ。神さんは、命に別条はないし、骨折はしてるけど怪我は大丈夫だって言われてる。意識が戻るまでは、不安を悪戯に広めることはないし、彼らはきっと必要以上に僕や百目鬼さんを心配する。
答えない僕に、緋色は困ったようにため息ついて、両手を離したかと思ったら、僕の体を抱きしめた。
緋色「はぁ…、奏一さんの言ってた通りだねマキちゃんは」
マキ「え?」
すっぽり僕を腕の中に閉じ込められたと思ったら、今度は小さい子に接するみたいに優しい口調で、頭を撫でてきた。
緋色「ヨシヨシ、何をそんなに溜め込んでるんだい?奏一おにいちゃんに言えないなら、緋色おにいちゃんに話してよ」
マキ「あの…緋色さ…」
緋色「ヨシヨシ。俺は話聞くまで離してあげないからね」
マキ「ちょっ、僕はなんとも…」
緋色「おっ、さすが、奏一さんの手を焼かす頑固者。マキちゃんのこと無駄にいっぱい知ってるんだよねぇ、頑固でいつも無理ばかりして、修二みたいだって奏一さんいつも言ってるもん」
奏一さん!なんでそんなこと…
緋色「あっ、奏一さんの名誉のために言っとくけど、奏一さんは悪くないし、秘密をペラペラ喋ってる訳じゃないよ。奏一さん酔い潰れると、毎回修二が心配だ心配だって言うんだけどね、去年あたりから、マキちゃんの名前が加わっただけだから、心配だって言うだけで、マキちゃんのことペラペラ喋ってる訳じゃないからねw」
マキ「……正月に羚凰さんが言ってたけど…緋色さんワザと飲ませて潰してるんじゃ…」
緋色「ありゃ、聞いてた?」
マキ「……」
緋色「…どうする?奏一さんと修二に話す?それとも緋色お兄さんに相談しとく?」
マキ「……増えてる」
緋色「www」
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