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アルバムをなぞる指先の決断31
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やはり…
避けて通れないのか…
朱雀から除名された理由…
マキ「…その事を話のは、少し待って…」
どおする?どおする?
本当の事を話す?
自分のセクシャルティーに混乱してる彼に?
それは…あまりにも…
百目鬼「…はっきり言えよ…」
苛立つ神くんは、はっきりしない僕をギロリと睨みつけ、胸ぐらを掴んで壁に追い込み、すごい剣幕で怒鳴り散らした。
百目鬼「はっきり言えよ!!俺みたいな奴がまともな人生送れるわけねぇーんだ!!どうせろくな奴じゃねぇーんだろ!なに隠してる!ぁあ?!」
凄む神くんの圧に押されたが、その瞳はギラギラしながら悲しみでいっぱいで、僕は返す言葉を迷った自分に激しくムカついた。
マキ「俺みたいなって何ッ!?」
自分への怒りもあって怒鳴り返したら、神くんは反撃されたことに驚いて一瞬固まる。その隙を僕は逃さない。
マキ「神くんは〝なんか〟じゃない!〝まともな人生送れるわけない〟ってどうしてそんなこと言うの!?30歳の神さんがどんな人たちに囲まれてるのか、君は見たでしょ!!それに僕が居る!!君を大好きで家族になるのを心待ちにしてる僕が居る!!」
僕の剣幕に押されて神くんの手が離れた。神くんは何かに驚いた様子だったけど、その後我に返ったように怒った。
百目鬼「ッ!…お前ッ男じゃんか!!」
怒り任せに怒鳴っても、今の神くんは所詮子供。僕の神さんの凄みにはかなわない。
マキ「…男だよ、だから何?」
怒鳴られても平然とする僕に、神くんは狼狽えて吠えまくる。
百目鬼「ふ、普通じゃねーだろッ!こんなの異常だ!」
マキ「異常?じゃあ普通って何?」
百目鬼「はッ?!」
マキ「普通や常識なんて、人によって全部違う。世の中の普通が普通として通るのは、それが多数派意見ってだけだ。みんながみんな同じじゃない、生まれた場所も、言葉も、習慣も、同じ人生を送ってる他人なんかいない。君の人生は君だけのものだ。普通なんて、みんな違う」
百目鬼「ッ!?難しい事並べて混乱させても無駄だぞ!お前の相手は俺じゃねー!!俺はッ!!お前なんか知らねぇーッ!!男なんか好きじゃねーしお前なんか知らねぇーんだよッ!!30歳の俺の恋人だかなんだか知らねぇーがッ!お前なんか覚えてねぇーし気持ち悪りぃーんだよッ!!」
マキ「…谷崎さんから何か聞いたの?」
奏一さんや朱雀と疎遠になった話だけで取り乱してるんじゃないと思ってカマかけたら、神くんは凄い形相で目を見開く。
百目鬼「ッ!!!!」
悲しみ、混乱、恐怖…
マキ「ビックリしちゃったんだね」
百目鬼「ッ…、その優しげな顔…、俺が〝神さん〟だからだろッ、俺にじゃねぇ。俺はお前なんか知らない!俺は違うって言ってんのに〝神さん〟〝神さん〟って!お前が見てるのは器だけじゃんかッ!!」
マキ「僕は知ってるよ君のこと」
百目鬼「俺は知らねんだよッ!!」
マキ「毎晩寝る前に聞いたお話の中に出て来たまんまだもの」
百目鬼「はあ!?」
マキ「アルバムを見せてもらって、毎日お話を聞いたんだ。君の話。思春期の時は荒れたい放題だって、自分の中をうまく整理できなくて、でも、おばあちゃんとおじいちゃんには迷惑かけたくなくて、だけど上手くいかなくて、学校で教師と対立して、放課後は朱雀で暴れて、家帰ったら喧嘩したんだろって怒られながらシワシワの手でしゃんとしろって叱ってもらいながら店手伝って、おじいちゃんとおばあちゃんが、叱ったり褒めたりしてくれて嬉しいって言ってた。お父さんと折り合いが悪く喧嘩ばかりして、でも、お父さんが一人じゃ良くないって再婚には賛成で、増えた家族には複雑な思いを抱えながら、それでも、蘭ちゃんに懐かれて嬉しいのに、どうして良いかわからなくてそっけなくしちゃうって」
百目鬼「…」
マキ「僕は見た訳じゃないから、全部が全部知ってる訳じゃないけど、写真があるやつのエピソードは全部聞いた。絵本みたいに1つ1つ。その時聞いた話と君はだいたい一緒。…違うところは、神さんは18歳の君を僕に会わせたくないって言ってたけど、どうしてそう言ったのか全くわからない。だって、何を怖がってたのか知らないけど、すっごく可愛いんだもん。」
百目鬼「?!」
マキ「僕は、確かに、君のこと〝神さん〟の18歳って思ってるけど、君は君でしょ、話は聞いてたけど、僕は君と初めて会った。会ってみて、いくつか分かった事がある。〝18歳の神〟は、とってもおばあちゃんおじいちゃん想い。聞いてたからじゃないよ。だって、12年後の世界に放り出されたんだって分かった時、混乱しながらも、おばあちゃんを気遣ってたでしょ。本当は喚き散らしたい程混乱して、婚約者居るとか言われて色々聞きたかったろうに、おばあちゃんが僕がお見舞いに来てくれてたんだから感謝しろって言われてたから、あまり僕には聞いてこなかった。おばあちゃんのこと、ずっと優しい目をして気遣ってた。〝18歳の神〟は、とても優しい人だ。それに素直。僕の事、男だからって否定したりしながら、綺麗だって言ってくれたり、言い方はアレなとこあるけど、全部顔に書いてあるから、あー、恥ずかしさがってんだなぁとか、困ってんだなぁとか全部分かっちゃう。この2週間でわかったのは、18歳の神は、優しくて、素直で可愛いって事。僕はそんな神が愛しくてたまらない」
百目鬼「………」
マキ「…ねぇ、君はどうだった?
〝何も知らない真っさらな君は僕をどう思う?〟。
〝茉爲宮優絆〟って僕を…」
百目鬼「…どおって…、男じゃん…」
マキ「じゃぁ、女だったら?おばあちゃんに紹介された、彼女で婚約者。2週間、〝私〟と接してみてどうだった?」
百目鬼「……わ、…かんねぇよ…」
マキ「じゃあ考えて♪」
百目鬼「は?考えてどうすんだよ」
マキ「えー、〝私〟ばっか告白してずるいじゃん?だから神も考えてよ♪。〝私〟は、18歳の神の事優しくて素直で可愛くて大好き♪。だから、教えてよ。〝真っさらな神〟は、〝私〟をどう思うのか?」
百目鬼「お前が勝手に言ってるだけだろ!?それに、お前が好きなのは…」
マキ「ダメダメ、〝私〟はちゃんと、〝神〟と〝神さん〟を別人として考えて言ってるんだから、神も〝私〟をどう思うのか考えて」
百目鬼「はあ?…ッ…んな事…」
マキ「ずるぅーい。人には散々、俺は〝神さん〟じゃないって言ったのに、自分は逃げるの?」
百目鬼「は?逃げ…??」
マキ「〝私〟の見た目は綺麗で可愛いって言ってくれたけど、じゃあ中身は?〝茉爲宮優絆〟は、どんな子?2週間接してみてどうだった?。…〝私〟みたいな女の子が彼女だったって聞かされてどうだった?嫌だった?、あなたは、どんな子が好きな?」
百目鬼「待て待て!」
マキ「ん?」
百目鬼「…んな事いきなり言われてもわかんねぇーよ」
マキ「じゃあ♪、時間あげるから考えて♪デートしよ♪」
百目鬼「はッ?!」
マキ「デート♡」
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