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うちのねこ
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「ただいま〜〜」
「にゃぁ…」
美丘さんの家から帰るとリクが出迎えてくれる。
猫の姿で。
最近はずっと人間のリクがいつもドアを開ければリビングからパタパタとかけてきていた。
リクを抱き上げればにゃーと鳴きながら俺の顔に擦り寄ってくる。
すっごい可愛くて愛しい筈なのに、何かが足りなく感じてしまう。
「リクは何で猫に戻ったの?」
「……?」
寝る前にソファでリクを膝の上に乗せながら問いかける。
ん?といった様子で俺を見上げるリク。
「俺に伝えたい事って……」
なに?って言いかけた時、
ちゅ
リクの柔らかい口が俺の口にふにゃん、と触れた。
目をぱちくりしてる俺を見ながらリクはにゃー、と一鳴き。
“好きって事、大好き”
そうリクから言われた様な気がして、ボンッと顔が赤くなった。
いつもリクに言われてた。
宙好きだよ
猫の時だってリクが俺の事を好きなのは感じていたけど、いざ人間になって言葉でハッキリ言われるとこっぱずかしくて…リクの事蔑ろにしてたのかもしれない。
でもあの日ちゃんと俺もリクに好きって言えた。
リクの事好きだからもっともっとリクの事教えて欲しかった。
なのに…
「何で戻っちゃうかなぁ…」
ポタポタとリクの毛に水滴が落ちていく。
「俺が好きって言わなかったら戻らなかった?」
落ちてくる雫に気付いたリクが体を起こしてペロッと目尻の水を舐める。
すりすりと首元に擦り寄ってなーなーと可愛らしく鳴くリクにキューッと胸が高鳴った。
「可愛いね…リク。人間の時はちょっと意地悪だったけどさ…」
鼻をすすりながらリクを撫でる。
泣くなよ、って
そう言われてる気がして。
「リク寝よっか」
リクを腕の中に抱いてベッドに入る。
あ、この体勢こないだと逆だ…。
リクの腕の中に抱かれて寝た日を思い出す。
とろん、と眠そうに瞬きをするリク。
可愛い……。
「リク……可愛い…大好き」
ずっと俺がリクに言われてた事を今度は俺が言っている。
人間の時にもっと言っておけばよかったって…今更思う。
相手にも好きって、俺もだよ、ってそう返してもらいたいなんて。
リクもそうだったのかな?
相手から思いを伝えられても自分も答えられなきゃ意味がない。そう思ってリクは人間になったのかな。
「俺が猫になったらリクは答えてくれる?」
バカみたくて自分で笑ってしまう。
でも、俺はリクにちゃんと言った事がある。
リクはどんな姿してても俺のリクだよ
って。
ちゅっと、リクの額にキスを落として自分も瞼を閉じる。
きっと明日の朝起きてもリクは猫の姿だろう。
それでもリクはリク。
どっちが本当の姿なのか。
いや、
猫でも人間でもリクなのだから。
それに俺には自信がある。猫の姿でだって十分リクの事理解できるって。
だって、最高に可愛くて意地悪で大好きな大好きな俺のリクなんだから。
fin.
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