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小野瀬のお願い
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なんとかリクを落ち着かせ小野瀬の話を聞き始める。その間もリクは俺の膝の上にいて暴れないように優しく撫でてあげている。尻尾の様子から見るにまだ警戒心は解いてないようだ。一方眞介君は小野瀬の膝の上で欠伸をしてだいぶ余裕そうだ。
「で、なんだっけ。俺が飼い方教えれば良いの?」
「そうそう。なんて言うか眞介もさ、元は猫カフェに居たから人に慣れてない訳じゃないし」
むしろ人になりますけどね。
とも言えず。
「だから割と言うことも聞いてくれるし躾とかは要らないんだよな。それよりも餌とかそっち系の事が分かんなくてさぁ」
「なるほど」
まず何をしたらいいかとか、こんな時はどうすればいいか等を軽く説明してあげた。あとはもし分からなくなったらいつでも聞いて、と。
一通り話し終えて小野瀬にお茶でも出そうかと立ち上がった。リクは俺の後を付いてきてキッチンに立つ俺の足元に擦り寄る。
「ところでさ…」
「?」
「本当に申し訳ないんだけど…」
「なんだよ」
お茶を出し一口飲んだところで小野瀬が何か困った様に話を持ちかける。
「ちょっと早めの夏期休暇をもらいまして」
「え?まじ?」
「今やってるプロジェクト終わったらなんだけどさ」
「あー、うん」
俺が今企画書を書いているプロジェクトの事だ。多分終わる頃には夏に入り始めた頃だと思う。
「それでさ…家族で旅行に行くわけよ……」
「おう…」
まさか
「でな?やっぱ眞介を連れて行けなくて……」
「………」
「宙んちで面倒見てくれねぇかなぁって……」
…………。
「はぁああ?!?」
「やっぱ……ダメ?」
「…っ!…え、いや〜…あー…」
やはり、と嫌な予感は的中。
別に小野瀬はいつも世話になってるし猫の一匹預かるのくらい全然構わないんだけど……さ…。
その猫が……
「にゃあ〜」
眞介君ともなると話は別だ。
「えっと…どんくらい?」
「……1週間」
「い、1週間……!」
うちの会社は新入社員でも夏期休暇を十分に取らせてくれる。
小野瀬の申し訳なさそうな表情が俺の心に突き刺さる。
「…でも、まあ、無理にとは言わない…宙なら安心かなって思ったからさ」
「小野瀬………」
わぁああ、小野瀬ぇえ!
大事な同僚のお願いだもんな
と俺の心はあっさり折れた。
「いいよ、任せろ!」
「ほ、ほんとか?!わぁあ!もう宙ありがとな!」
しょうがない、しょうがないんだコレは。リクをなんとか怒らせないようにして……まあ、眞介君は人間になるとも限らないし、それに関しては大丈夫だと信じたい。小野瀬とか絶対眞介君が人間化したの知らないだろうし……。
別に猫だから。猫のままならとてつもなく可愛いアメショーなのだ。問題は無い。
それでもなんとなく嫌な予感は拭いきれないままありがとうと何度も言う小野瀬に笑いかけるのだった。
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