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それは突然に
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「ん……かいしゃ、いかな、きゃ…」
目覚まし時計のアラーム音が鳴る前に目が覚めてしまい、もぞもぞとベッドの中で動く。
はっ、と自分の横に気配がないのを感じれば、
「え、リク……いない…?」
昨日の夜自分の横で寝ていた男はおらず、そして猫の姿の彼もいないのだった。
「………」
いつもなら、猫の姿の時でも俺の近くで寝ている筈だった。
何故か急にドキドキと心臓が音を立て始めた。
何処にいるの?どうしたの?
急に眠気が覚めて、バッとシーツをめくる。そこにリクの姿はなくて、勿論猫のリクもいない。
慌ててベッドから飛び降りると急いでリビングへと走った。
「リク!!!」
バンッと勢いよく扉を開ければ、
「にゃ〜〜?」
「あ……」
そこにはソファの背もたれの上に尻尾をゆらゆら揺らしながら、にゃーと鳴くリクが。
何故かホッとしてしまい、その場にへたり込んでしまった。
「なんだぁ〜〜……でも、猫?なんで?」
何故猫の姿なのか。
立ち上がりリクの元へ行き抱え上げる。
「リク……なんで猫に戻ってんの?」
「にゃ〜」
「……」
その日会社に行き、帰ってきてもリクは猫の姿だった。
その日だけじゃない。
翌日もその翌日も、一週間経ってもリクはずーっと猫のままだった。
いつか喧嘩した時に猫に戻った事があった。でもまたすぐに人間になった。
だけど今回は違う。
「にゃ、んなぁ〜〜」
美味しそに餌を食べるリクを見てて自分も夕飯を口に運ぶがイマイチ味を感じなかった。
何でだろう。なんで?
そもそも人間になった事が夢なんじゃないかって……。でもあの日確かに夢じゃないって。
リクはそこに居るのに。
いないようで
凄く寂しくなった。
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