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焼きそば食べたいっ!(2)
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「どうしてそこまで……」
「焼きそば食べたい」
「はあ?」
「焼きそば食べたいのっ!」
まるで駄々をこねる子どもみたいに言葉をぶつけてきます。
「なに?」
「すっごく美味しい屋台が出るんだ。それが食べたい!」
「食べたことあるのか?」
「うん。美味しいんだよっ!」
「……一回あるなら、別にもう食べなくても……」
思わずボヤいてしまうと、響の表情が一気にくもりました。
いつだってうるうるキラキラしている目に、まぶたがどんよりと下りていきます。
「龍広くんと、食べたかったのにな……」
やがて、降り始めの雨にみたくポツンと放たれた言葉。
その切なげな声の感じに、龍広は思わず身震いしてしまいました。
「そ、そうか。……すまん」
足の裏までムズムズと、かゆい。
彼に甘えられると、どうしようもなく心が揺れてしまう――。
そんな自身を恥じながら、茶色の液体を口にします。
「ぐ……」
うっかり忘れていた奇妙な味に、トドメをさされたような気がしました。
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