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母親 2<清、猇視点>
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「…波留の父親の墓に供えてあった花って本当は誰のなんですか。」
あの時確か波留の叔父は、何か解った様な顔を見せ、本人には確信が持てないからと言って言わなかった
「……あ、あぁ…あのことか。」
すると叔父は、グッとビールを喉に通すと少しだけ下を俯き話してくれた
「……多分、あの花は美鈴さんのだ。シオンの花が添えてあったからね。」
「……シオンの花?」
(それに今美鈴さんって…)
俺が猇と目を合わせると、波留の叔母が寂しそうに笑いながら教えてくれた
「シオンの花言葉がね…貴方を忘れない、遠い人を思うなの。私がちょっとかじった知識だけどね。…きっと、心の何処かで幸一郎(こういちろう)さんを波留くんを雅咲くんを忘れられないのよ。美鈴さんは…」
幸一郎とは多分波留の父親だろう
「…その、どうして波留のお母さん、美鈴さんが墓参りに来たのかを教えて頂きませんか。知りたいんです。」
知りたかった。どうしても…
猇も俺と同じ気持ちなのだろう。一緒に頭を下げてくれた
叔父は少し困った表情を見せ、叔母と顔を見合わせたが、頷くと言葉を綴ってくれる
「……美鈴さんは雅咲くんの事件があった直後に家をでていってしまったんだ。…波留くんを1番支えてあげなきゃいけない時にね」
全治2ヶ月の怪我を負った波留を置いて…?
「……幸一郎さん、波留くんが心配で毎日お見舞いに行ってたのよ。美鈴さんがいなくなって大変だったのに」
心の整理もつかないまま、波留の看病をしたり雅咲の病院にも電話をかけていたらしい
「その美鈴さんがこの間帰ってきたんだ。…そうだな…たしか6月辺りかな」
俺達が波留にあってまだ間もない頃だ
「いきなりの訪問でね。こっちも雅咲くんの退院で慌ただしかったから、皆切羽詰まってて…」
(雅咲の退院…波留が1番怯えてること)
「幸一郎さんが死んだ事も何も知らなくてね。美鈴さんにそれを伝えたら泣き出しちゃって。…今まで何をしていたのかを彼女に聞いたら、彼女は1人で抱え込んで耐えきれなくなって咄嗟に出て行ってしまったらしいんだから」
「…何を抱え込んでたんですか。」
思わず拳に力がはいった
だって、自分の子供を夫を置いて出て行くのだもの
まるで自分達の母親の様に…
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