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結弦の墓 3
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「………ぇ」
波留は自分の頬を指で拭った
拭って拭って……それでも涙は止まらなかった
あの時の事が、去年の事が頭の中で鮮明すぎる程思い出されて、涙が絶え間なく出てくるのだ
「ゆづる……結弦、ゴメン…本当に…ごめっ…」
墓で泣くのはいけない事なのかもしれない
それでも、止まってくれないのだ…
「おれ…っ、結弦に…あやま、りたく…て…ひっく」
ついには嗚咽まで出始め、その場に崩れ落ちそうだった
「ぅぅ…ふぇ…、…俺、結弦の事…大好きだっ、た…どうして…結弦が」
どうして彼が死ななくてはならなかったのか…
「なぁーぉ」
傘も捨てて泣きじゃくっていると、下から猫の声が聞こえた
「……?」
こんな所に猫がいるなんて珍しい
(住職さんが飼ってるのかな……)
波留は涙を隠すように拭い、その場にしゃがむ
「…どうしたの?こんな所で…」
「にゃーぉ…」
猫は波留の足にすり寄ると、ゴロゴロと喉を鳴らす
「ふふっ…可愛い」
その頭を撫でてやると、猫の瞳が此方をじっと見つめてきた
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