アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
最悪の事態 6<清視点>
-
視界が霞み、まともに立つ事さえ出来ない
俺はその場に膝をつき、激痛の走る場所を震える手で触ると銀色の棒状の刃物が刺さっていた
そこからおびただしい量の血が溢れ、自分の手を赤く汚す
(……刺されたのか?)
そして、霞みがかった視界がグラリと揺れる
これ以上深く刺さらないようわざと身体を傾けなんとか衝撃に耐えた
目の前の集団は何かの指示を得たのか、足早に去っていくのが微かに分かった
(波留…波留が…)
起き上がろうと這いつくばるが、力が思ったように入らない
「おいっ ばかっ‼︎」
猇が遠くで叫んでいる。その声はいつも以上に焦っていた
「……ぁ、ぐ…」
話したいのに麻痺でもしたかの様に口が動かない
「あほ、喋んなっ‼︎」
痛いのに痛いと叫べない
「……」
その後の意識は俺にはなかった…
ただ最後に脳裏に浮かんだのは、波留の悲しそうな顔だった
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
292 / 557