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大阪 2
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「…海咲?誰の事かな?」
とぼける彼に波留は声をあげた
「と、とぼけないで下さい‼︎」
波留はその男性の着物を掴み詰め寄ると、目の前の彼は静かにその手を抑えた
「波留さん。貴方は俺を誰かと勘違いしてる…俺の名前は海咲じゃなくて紅葉(いろは)だし、海咲なんて名前の人は此処にはいない」
紅葉と名乗る彼が嘘を言っているとは思えない。落ち着いた口調だし、目だって嘘をつくような仕草はみせていない
(…本当に、別人なんだ)
もしかしたら再開できたかもしれないと思った波留だったが、別人である事に確信を持ちシュンとうな垂れた
「大丈夫ですか?」
紅葉が波留の前で綺麗な手を数回揺らし、現実へと引き戻す
「……っ‼ ご、ごめんなさい。…紅葉さん…でしたっけ?」
ふっと我に返り、ぎこちない笑みを彼に向けると着物の裾を戻しながら紅葉が頷いた
「波留さんとほぼ年は変わらないですし…、敬語はなしにしましょうか」
まるで女性の様なしなやかな仕草に波留は少し見惚れてしまう
「……はい。じゃなかった。う、うん」
そんな波留に紅葉はクスリと微笑を零す
「じゃあ波留に今の現状を俺が解る範囲で教えるねよ。」
「うん…ぁ、その前に一つお願いがあるんだけど…」
躊躇気味に波留が紅葉の顔を覗き込み、聞く。すると紅葉は
「何かな?」
首を少しだけ横に傾け、穏やかな顔をする
「足の…を、外してほしいんだけど…逃げたりしないから。」
以前の俺ならそうしていたかもしれないが今は状況が違う
此処で逆らえば何をされるか本当にわからない
波留は恐る恐る足についている足枷を指さすと外してもらうよう願った
そんな波留を見かねた紅葉は急いで着物の裾を上げた
「あぁ、そうだね。これじゃ邪魔でしょうがないもんね。」
紅葉が懐から小さな鍵を取り出すと波留の足枷の鍵穴部分に差し込み、足枷を外す
「……ありがとう。」
足を縛っていたおもりが消え波留は安どの息をつく
「ごめんね。すぐに外してやらなくて…」
謝る紅葉に波留は何度ども首を横に振った
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