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記憶×空×曇天
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ヒソカside
イルミに記憶を戻した後、不安そうに眉を下げたラファはそっと僕に抱きついた。
イルミは、じっと椅子にかけたまま動かない。
ラファ曰く、2、3時間はこのままだそうだ。
「…外へ出るかい?♦️」
少しでも気分転換をと思ってそう口にしたのだが、ラファは首を横に振った。
「…イル兄の、そばに、いたいの」
そう言われて、そう…と少し黙った後、ふとシルバに目をやると、ちょうど席を外そうとしているところだった。
考えることは同じらしい。
「ラファ、僕達ちょっと出てるから♠️」
そう伝えると、ラファはこちらをちらっと見たあと小さく頷いた。
イルミの隣に下ろすと、僕はラファの頭を軽く撫でて、部屋を出た。
「イル兄…」
騙し続けていた。
隠し続けていた。
それは、もちろん嫌われたくなかったから。
…けれど、隠したところで事実はなくなるわけでもなくて。
…きっと、記憶を戻したのは間違ってないよね…?
ぎゅっとイルミの手を握るが、特に反応は返ってこない。
それもそのはず、今頃イルミは記憶の中を旅しているだろうから。
キルアにも記憶を返すべきなのかとか、そんなことも頭をよぎるけれど、今は目の前のイルミで心がいっぱいいっぱいだった。
イルミは目を開いたら、初めになんていうだろう。
「嫌い」かな。
「怖い」…かもしれない。
「イル兄…」
ぼーっと虚空を見つめたまま微動だにしない真っ黒な瞳を見つめて、その体に抱きついた。
ねえ、お願い。
もう一度その目で僕を見て。
僕のこと、嫌わないで。
…もう一度…家族って言って…。
ヒソカside
ラファを置いて部屋を出た後、特に行く宛もなく外へ出た。
仕事の依頼も入って居ないし、誰かを殺したいという欲求も今は特に感じられなかった。
後ろ髪引かれる思いはしたが部屋を出たのは、正解だったのか。
そんなことを考えながら、どんよりと曇った空を見上げていると、後ろからゼノの声が飛んできた。
「雨、降るのかのう」
「…何言ってるの?♦️」
何が言いたいのか分からずそう聞き返すと、ゼノは僕の隣まで歩いてきて、にんまりと満足そうに笑った。
「わしは、今から晴れてくると思うんじゃよ」
「…」
「イルミは、少し愛情表現が変わっておるかもしれんが、1度愛情を持った家族には何をされても愛情を持ち続ける」
そこまで言われてようやく、ゼノが何を言いたかったのか理解した。
「そうだねぇ♥ラファはきっと大丈夫だよ♣️」
「おんや?わしはラファの話などしとらんがの」
そう言って笑いながら去っていくゼノに、やれやれとため息をついた。
地面に落ちた手ぬぐいを広いながら、肩を竦める。
「自分の持ち物落としても気づかないくらい心配してるくせに、よく言うねぇ…♠️」
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