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瞳×毒×ゼリー
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「…ラファ」
数時間全く動かなかった真っ黒な瞳が、ぐるりとこちらを向いた。
光のないまま、僕の顔を見つめるその目を見つめ返した。
「…イル、兄」
僕が握っていた手を振り払うように、イルミが手をあげる。
その手が僕の方に向けられて…そっと、抱きしめられていた。
「…イル兄…?」
「おかえり、ラファ」
そっと頭を撫でられて、膝に乗せられた。
「…思い出した…?」
「うん、まぁね」
「…」
「おかえり」
もう1度そう口にして、イルミは僕を強く抱きしめた。
「俺の弟だったんだね」
今まで忘れてたけど、と呟かれて、きゅっと手を握り込んだ。
「…ごめんなさい」
「もういいんだよ、それに…俺が弱かったのが悪いんだよ」
そう言って、イルミは僕を責め立てたりはしなかった。
「これからどうするの?」
トリカブト入りのスープを飲んでいたら、イルミがそう首をかしげた。
「…うーん…決めてないや」
「もう少しここにいればいい」
シルバがそういいながら、同じく毒であるベニテングタケのソテーを咀嚼する。
「あ、でも僕そろそろお暇するよ♦️」
「どうして?」
「天空闘技場の対戦期限がそろそろ来ちゃうんだ♠️追い出される前に殺し合いしないと♥」
ふぐの毒が加えられているお茶を飲みながらヒソカがそう言うので、そっか、と頷く。
ヒソカがお暇するのに僕だけ滞在するわけには行かない。
「じゃあ、僕もおうちに帰るよ」
「ラファは僕とおいで♣️」
「え、どうして?」
痺れ薬の練り込まれたパンを食べながら首を傾げると、「ンン☆」とよく分からない声をあげられた。
「僕が一緒にいたいから…♦️」
「…別にすることないからいいよ、分かった」
「やった♥」
にまっと笑うヒソカを見て、たまにはこういうのもいいかと思った。
非日常をもう少し続けるのも悪くない。
「もう少しいればいいのに」
不満そうにイルミがそう口にすると、ミルキもこくりと頷いた。
「新作のゲーム入るよ」
ゲームは魅力的だけれど。
ちらりとヒソカを見ると困ったように眉を下げたのが分かったので、ミルキの方を向いた。
「ごめんね、またやりにくるから許して?」
ことんと僕の前にゼリーが置かれた。
さっきまでミルキの目の前にあった、鮮やかな水色をしたゼリーだ。
「それ、貸しだからな」
そんなことを言われて、ふふ、と思わず笑ってしまった。
そんなことをしなくても、僕はいつでもこの家族に会いに来るのに。
「分かった。ミル兄、約束ね」
ぱくりと口に入れたゼリーは、爽やかなミント味だった。
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