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ランチ×仕事×再開
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「ラファ♥」
「…ヒソカ」
待合室に通じる廊下で、背中を壁に預けてヒソカを待ちながら仕事の依頼を整理していると、いつの間に隣に来たのか、ヒソカが満面の笑みで話しかけてきた。
「お疲れ様」
「うん♦️」
嬉しそうに、にぃ…と笑ったその顔からは、何がそんなに嬉しいか読み取れない。
「…僕、お仕事行かなくちゃ。ハンター試験の間何も出来なかったから」
携帯から顔を上げることなくそういうと、ヒソカがきゅっと僕の腕をつかんだ。
「ヒソカ?」
「んん…♠️ランチくらい、一緒に食べてはくれないかい?♣️」
そう言われて、時間を確認すると、ランチには少し遅いくらいだった。
「…いいけど、なに食べるの?」
「ふふ、僕の好きなもの☆」
…いや、そうだろうけど…
ぱっと腕を離されて、つかつか歩き始めたヒソカに、ふぅっと息をついた後ついて行った。
「高級フレンチ…昼間から」
「いいじゃない♥夜は仕事なんだろう?♣️」
「…そうだけどさ」
皿の上におしゃれに盛られたナプキンを手に取り、服の上に広げる。
ヒソカは汚れないようにとナプキンを襟元に縛っていた。
「こういう店は…僕みたいなのには合わないよ、ドレスコードでも無いし…」
何となく周りが気になってしまってそういうと、ヒソカは不思議そうに目をぱちくりした。
「今度から貸切にするかい?♠️そしたら気にならないだろう?♦️」
「いや、そうじゃないよ…」
やれやれ、と肩をすくめていると、前菜が運ばれてきた。
何の料理かわからないような、あまり知らない料理が一口ずつ数種類盛られている。
適当に、ゼリーのようなものを1口食べた。
じゅわっとコンソメのような味が広がり、野菜の爽やかな酸味が鼻を抜ける。
「…美味しい」
呟くようにそう言うと、ヒソカは満足したように微笑んだ。
「お腹いっぱい…」
あれから、フォアグラやキャビアなど普段食べない馴染みのないものも堪能し、デザートまで平らげた。
ヒソカはその言葉に幸せそうな顔をして、どこからともなく黒いカードを取り出した。
ボーイにそれを渡すと、
「気に入ってもらえてよかった☆」
「あ…ねぇ、僕払うよ」
「いいの♥僕がつき合わせたんだから♠️」
そう言い切られてしまい、懐から財布を出そうとした手を引っ込めた。
「ヒソカ…僕…」
「今から、人を殺しに行くんだろう?♦️」
そう言って、対面からトランプの束を差し出される。
「…?」
「お守り♥」
神なんて信じていない。
御利益も信じてない。
…だけど、ヒソカのことは信じてる。
「ありがと…」
トランプを受け取り、マントの中へしまう。
「帰りは何時になるんだい?♣️」
「分からない…明日かも」
そう答えると、ヒソカは少し不満そうに「んん…」と声を漏らした。
「気をつけていってくるんだよ☆」
「大丈夫だよ、僕を誰だと思ってるの」
そう答えると、ヒソカはにぃっと笑みを深くした。
「そうだったね、ラファ♥」
「…あいつか」
依頼人から送られてきた顔写真と、護衛をつけて歩く偉そうな男の顔を見比べる。
あたりはすっかり暗くなっていた。
もう、これで今日殺しだけで10件目。
これが終わったら帰ろうかどうしようか、と考えながら、その男に近付く。
絶をし、ゾルディック家にいる間に教えこまれた暗歩を使って一気に距離を縮めると、護衛を避けてその男の心臓を抉りとった。
いつもなら頚動脈を切るなり銃を使うなりするのだが、今回の依頼は特殊で、対象の心臓を抜き取って殺して欲しいと言われていた。
「な、なんだお前!」
護衛が僕に気付き大声をあげると、一拍あって男が倒れ込んだ。
「…護衛を殺せとは言われなかったんだけどなぁ」
やれやれ、と肩をすくめてから、護衛の頚動脈を切った。
自分の首から吹き上がる血液に驚き、慄きながら護衛の男も倒れ込む。
自分の手に残った心臓をぽいと死体の上に捨て、殺した様子を写真に収める。
…今日の仕事はこれで終わりにしようかなぁ…
手に付いた血液を拭き取りながら、僕はゆっくり歩き始めた。
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