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2次試験×お寿司×サトツさん
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説明が終わるより早く突然猛進してきた豚に、何人かの受験生が飛ばされる。
逃げ惑う受験生たちと違い、俺はそのままそこに残った。
Uターンして再び舞い戻ってきた豚を、素早く念で強化した手刀で倒す。
メンチの目の前でそのまま念で火の玉を起こし、豚を丸焼きにする。
「…ん」
ブハラにそれを差し出すと、お腹を空かせたブハラはうまいうまいとすぐに完食した。
俺はそれを聞いてすぐに森の中へ入る。
他の受験生たちが悪戦苦闘している間をすり抜け、木陰に座る。
…上からは、サトツさんの気配。
上を向いて見つめると、サトツさんは降りてきた。
「ばれてしまいましたか。一応絶をしていたんですがね」
サトツさんは俺の隣に座ると、他の受験生たちを楽しそうに見つめた。
「今年は豊作です。特にルーキーの皆さんはとても良いツブ揃いだと思いますよ」
「…そう、ですか」
…沈黙。
と、ゴンが走ってきた。
「ラファ、メンチさんの試験が始まるよ!」
俺は立ち上がると、サトツさんに一つ礼をしてゴンと共に再び2次試験会場へと急いだ。
「あたしからの課題は…寿司よ」
…寿司…
「制限時間はブハラと一緒、あたしが満腹になるまでよ。さぁ、開始よ!」
皆各々のご飯を見、何をしたらいいかわからずあわあわしはじめる。
俺は特に何も言わず、試験会場を出た。
川の魚は基本的に泥臭くて刺身には向かない…。
でも、ここから海まで行くのもな…。
「…マグロ」
呟けば、新鮮でまだびちびちしているマグロが現れる。
其れを掴んでそのまま会場へ戻ると、包丁片手にそのマグロの処理を進める。
突如始まったマグロの解体ショーに、付近にいた受験者たちは俺をガン見している。
手頃な大きさにマグロを切ると、シャリを握り、マグロを乗せた。
…うん、なかなか旨そうな出来。
「…どうぞ」
メンチのところへ行くと、メンチは俺の寿司をみて、とりあえず見た目はオッケーね、と頷いた。
ぱく、とメンチの口の中に寿司が消える。
もぐもぐ…もぐ…
メンチの口の動きがだんだん遅くなる。
合格とも駄目とも言われない。
もしかして、言葉が出ないような味だった…?
試験はともかく、マズイものを人に食べさせるのには抵抗がある。
とりあえずじっとメンチを見つめると、メンチのピンク色の唇が開かれた。
「…あんた、どうやって作ったの?コレ」
「え…普通にです…。まずかったですか…?」
「完璧…そう、完璧よ!シャリの硬さ、酢の入れ具合、温度、ネタの厚さ、切り方!こんなに美味しいお寿司は食べた事がないわ!」
「ありがとうございます…?」
とりあえずまずくはなかったようで良かった。
「合格、文句無しの合格よ!」
メンチに言われ、俺はとりあえず頭を下げて自分の調理場に戻ると、他の受験生が俺の魚を盗ろうとしていた。
「…それ、俺の…」
「あんたはもう合格したんだからいいじゃねぇか!」
そう言って胸ぐらを掴まれた。
会場には3人しか残っていないが、その全員が俺を向いて威圧していた。
「…まだ、食べる。俺…」
そう言うと、念で空間へマグロをしまった。
これくらいなら許されるだろう…
「…!?おい、魚は…!」
「何処へやった!」
「一体なんの仕掛けだ!許さねえぞ!」
俺はとりあえずしたを向くと、少し…ほんの少しだけ、殺気を向ける。
「…離せ」
ごくり、と喉を鳴らすのが聞こえる。
ガタガタと震え、力が緩んだ瞬間に抜け出した。
会場を出てすぐのところにサトツさんがいるのを見つけると、俺はサトツさんに近付いた。
そしてまな板と包丁、ご飯を会場から外へ召喚する。
中から、あれっ?包丁は?などと声が聞こえるが…無視。
こっちを向いているサトツさんの目の前で簡単に寿司を作ると、サトツさんに差し出した。
「良ければどうぞ…」
「それでは、いただきます」
サトツさんは寿司を手に取ると、一口で頬張った。
「…!すごく美味しいです。ラファさんは料理が上手なんですね」
「気に入ってもらえて…良かった、です」
もぐもぐと食べるサトツさんを見つめていると、中が騒がしくなった。
僅かな隙間から覗くと、どうやら皆が曖昧ながら寿司を作ってメンチさんのところへ行き出したらしい。
試食さえしてもらえないレオリオ、ゴン、落ち込むクラピカを眺めていると、キルアが皿を投げられたあとすぐにヒソカが自分の皿を持って黙って出てきた。
とりあえず包丁やまな板、マグロを空間へしまうと、サトツさんに一礼しそっとヒソカを追いかけた。
川辺で石を投げて拗ねているヒソカをちらとみると、その皿の中身を確認する。
中身はキルアのと同じ寿司(小エビのカクテル、鱒のマリネの辛子ソース和えとライス、寿司のブルゴーニュ風)が乗っていた。
その皿を持ち、ヒソカの隣に座った。
ヒソカは、俺が皿を持ってきたのを見て何をするのかと疑問符を浮かべる。
「ヒソカ…これ、食べないのか…?」
「…うん♦気持ち悪いって言われちゃったしね…⭐」
それを聞いて、ヒソカの作った寿司を口にいれる。
少し辛いけれど、美味しいし…何より、料理なんか無縁のはずのヒソカが頑張って考えて作ったお寿司だ。
それだけで心も体も暖かくなる。
「…美味しいよ、ヒソカ」
「…本当かい?♠」
「うん、とっても美味しい」
それを聞いて、ヒソカは少しだけ嬉しそうな笑みを零した。
「…俺のもあげようか?」
そういって、空間からさっきサトツさんのと一緒に作った寿司を出す。
ヒソカはしばらくそれを見つめると、ぱくりと口に含んだ。
「…美味しい⭐これなら毎日でも食べられそう♦」
「…ありがとう、ヒソカ」
ヒソカがそれを食べ終わるのを待って、立ち上がった。
「ほら、ヒソカ…このままじゃ本当に落ちちゃうぞ」
僕に引かれるように渋々立ち上がったヒソカの手を引き、会場まで歩く。
すると、中ではトードーとかいう格闘家の人が暴れていた。
ぶわっとヒソカから殺気が立ち上る。
「…ヒソカ、ダメ」
「…♦」
ちらとヒソカが俺に視線を送った。
メンチさんと皆が言い合いをしている。
どうやら、2次試験が難易度が高すぎると苦情をつけているらしい。
確かに、一気に落としすぎ感は否めないが…
「しかし、合格者1名はちと厳しすぎやせんかのう」
トードーと言い合っているメンチさんに話しかけるようにしながら、上からお爺さんが降ってくる。
「会長!」
…アレが、俺を0番に指名した人か…
やっぱり、知らない人…
何処かであったのだろうか…と、もんもんと考えているうちに話は進み、マフタツ山へ行く事になった。
「俺も行った方がいいのかなぁ…」
ゴンたちが飛び降りた崖を見つめる。
「僕がとってきてあげる⭐ラファは待っててよ♦」
ヒソカに言われ、その場に座った。
幾分と立たずにヒソカが戻ってくる。
その手には卵が2つ。
「はい⭐」
「…ありがとう」
受け取り、その卵をメンチさんに見せ鍋にいれた。
まだかな、まだかな…と湯気を立てる鍋を見つめる。
と、ブハラが呻いたのを合図に皆が慌てて卵を掬う。
俺も掬って、皮を剥いて、渡された普通の卵と食べ比べた。
…ん、美味しい…
「卵一つでこんなに変わるものなんだねえ…♠」
感心しているヒソカに頷くと、メンチが大声をあげた。
「2次試験、メンチのメニュー、終了!合格者、42名‼」
2次試験が、終わった。
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