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3次試験×前半×トリックタワー
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「隠し扉か…」
「そうみたいだねえ⭐」
歩いていると、靴の音が響く場所がある。
下に空間がある証拠だ。
「…あ、そうだ♦」
「…?」
「ラファ、具現でマフラー作ってよ♥君がつけるんだけどね♠」
言われるままに黒と白の縦ボーダーのマフラーを作り出す。
それをフードの上からぐるぐると巻かれた。
顔の半分が覆われる。
「あんまり顔見せちゃ駄目だからね?♦」
…?
こくんと頷くと、ヒソカは満足げに笑った。
俺、ヒソカ、ギタラクルはそれぞれ3つの隠し扉の上に立つ。
「心配は無いと思うけど…2人ともちゃんと下まで降りてきてね」
ギタラクルが珍しく喋った。
「勿論♥奇術師に不可能はないの⭐」
「…頑張る」
3人で向かい合って頷き合った。
「じゃぁ、行くよ…」
「1♦2♥3っ!⭐」
ヒソカに合わせて跳ぶと、そのまま床が開いて真っ逆さまに塔の中へと落ちた。
中は真っ暗だった。
ガコンっと石の扉が閉まる音がして、上から石のかけらがパラパラと降ってくる。
ぼうっと明かりが灯り、周囲に目を走らせると、ギタラクルがいた。
…同じ通路を選んだのか…
どうやらヒソカは別らしい。
「…改めてゴールまでお願いします、ギタラクルさん」
「イルミでいい」
ギタラクルが針を抜くと、ギギギギ…と人外な音を立てながら顔が綺麗になり、髪が伸びる。
元に戻ったイルミは予想通り綺麗な顔だった。
イルミ…
…昔よりかなり髪が伸びて…美人になってる…
「…ゾルディック家の長男さん、ですか…。どうしてこの試験にゾルディック家が2人も…?」
その名を口にした瞬間、周りの空気が冷たくなる。
「どうして、知ってるの?」
すごい殺気…
「いえ…シルバさんとゼノさんに仕事の依頼を受けたことがあって…その時に聞いたんです」
本当のことだ。
大切なことは伏せているだけで…
「ふうん…。じゃあ、結構強いんだ?」
「いや…僕は、全然強くないから…」
イルミの目が鋭くなったので、とりあえず強く無いから敵にもならないというアピールをしてみる。
イルミはかなり強くなったようだ。
昔とはオーラの量も質も全然違う。
「ふうん…?」
イルミは値踏みするようにじろっと俺を見て、まぁいいか、とため息をついた。
「とりあえず行こう。時間制限あるしさ」
進み出したイルミについて行った。
ゴロゴロと大岩が階段の上から追いかけてきたり、突然針が迫ってきたり、水が溢れてきたり。
けれど、イルミにとっても俺にとっても大した障害にはならず、順調にスイスイ進んだ。
何度目か分からない電撃を避けると、それを見ていたイルミが少しうつむいて顎に手を当てて、初めて止まった。
「…イル?」
「…どうして俺がイルって呼ばれてること知ってるの?」
「…シルバさんとゼノさんが、そう呼んでましたから…」
うぅん…と、納得していない様子で少し考え込んだあと、イルミは顔をあげた。
「…まあいいや、先に進もうか」
…?
何を考えていたのかは分からないけれど、とにかくゴール目指して進んだ。
イルミside
どうしてだろう、懐かしいような気がするんだ。
その顔も、表情も、仕草も、俺を呼ぶ…声も。
初対面のはずだ、こんなに特徴的な人、俺が覚えてない訳が無い。
それでもなぜか不思議なデジャヴ感がつきまとう。
「…イル?」
少しずつ、少しずつ。
奇妙な気持ちになる。
俺はこの子と会ったことがあるのではないか…と。
そんな訳は無い、と思っても、その気持ちは振り払えぬまま。
気にしないよう務めて歩き出すと、ラファも付いてきた。
「3人の扉…?」
首を傾げて目の前の石の扉を見る。
両サイドには手形をしたレンガのようなボタンがあり、そこにそれぞれ手を当てて押すらしい。
手形は全部で3つ。
もう1人が来るまで開けることはできないようだ。
「…これ、もしもう1人が死んだり元々誰もここから入ってなかったりしたら俺たちもここで終わりじゃん」
イルミがはぁっとため息をついた。
俺はそっとその扉に触れたけれど、中から鍵がかかっているようだ。
念を使えば一発だけれど、念は基本的に禁止。
仕方なく扉にもたれかかって座った。
待つこと10分。
「やあ⭐」
カツッカツッカツッと音を立てながらヒソカが歩いてきた。
「ヒソカ…」
…くんっ…
…血の、臭い…
「…ヒソカ、怪我、したの…?」
「うん、ちょっとね♦大丈夫だよ、ただの擦り傷♥」
俺は立ち上がってヒソカの肩に触れる。
「…『神秘なる力』…」
ぽうっと明るく光り、ヒソカの傷が塞がった…と思う。
ドッキリテクスチャーで見えないけれど。
「ありがと♠」
よしよしとヒソカに頭を撫でられた。
「そんなことより、ヒソカが最後の1人だったんだろ?早く先に進もうよ」
イルミが扉を見つめた。
「うん…」
扉の方を向いた瞬間、
急にヒソカに抱き寄せられた。
「…っ!?ヒソカ、何…っ」
「絶、か…♥僕たち以外にも念使いがいたとはねぇ…♦」
さっきまで俺がいた場所にナイフが突き立っていた。
真っ暗な廊下の奥から現れたのは、受験生の1人。
「どう、して…?ヒソカが最後の1人じゃ…」
「…幾つもの通路につながっているみたいだよ。俺が認識できるだけで、8つの通過が開いてる。つまり、1人がここに来れなくても別のやつがここにたどり着けば先へ進める。逆に言えば…すべての通路から出て来る人のうち3人しか先へは進めない」
イルミはそう言って、1人納得したように頷いた。
…3人…
…というか
「それ…変装といてて大丈夫なの、ギタラクル…?」
「大丈夫だよ、皆始末しちゃうし」
「ここに来るまでの時間、僕とあんまり変わらないだなんて、結構実力あるんじゃない?⭐彼♥」
ヒソカが受験生をトランプで差す。
「でも…僕たちに勝負を挑んだのはあんまり得策じゃないかなぁ⭐」
「ヒソカ…ナイフさえあれば俺はお前にだって…勝てるんだぁぁぁぁ!!」
操作系らしく、扉に刺さって居たナイフを遠距離から抜き取り、ヒソカに狙いを定める。
ポケットから出した大量のナイフが一斉にヒソカを向く。
ヒソカはそれを余裕の笑みで見つめた。
「ラファ⭐離れてて♦怪我したら大変だ♥」
「昔と一緒にしないでよ…俺だって強くなった」
「でも、彼の狙いは僕らしいよ♦」
「…ヒソカ、守ろうか?」
「いいよ⭐僕だって自分は自分で守れるくらいには強いつもりだしね♥」
「…そ」
それだけ答えると、イルミと共にヒソカから離れた。
巻き添いを食わないように。
「…ヒソカを守れるほど強いの?」
イルミが呟くように俺に聞いた。
…ごもっとも。
「ううん…心配で」
「…ふぅん?」
イルミはじぃっと俺を見つめた。
ヒソカは迫り来る無数のナイフを避けまくっている。
…よくやる。
ヒソカはしばらくナイフとの攻防を楽しんで居たが、相手が苦しげな表情を浮かべ汗を流し始めたのを見て、残念そうに眉を下げた。
「ねぇ…まさか、それ全力?⭐熟してその程度じゃぁ、生かしておく必要もないじゃないか…♦」
ぶわ…っとヒソカの殺気が増大する。
と、不意にナイフの動きがおかしくなった。
ヒソカのバンジーガムによってすべてのナイフが捉えられたのだ。
まるでひとかたまりの魚の集合体のようにくっついたまま、ナイフは切っ先を…男へ。
ナイフの束の先端には、男に続くバンジーガム。
男の顔には焦りが浮かんでいる。
「た、た…た、助けてくれぇ!」
それがその男の最後の言葉だった。
男はたったの一瞬でみるも無残な肉塊へと変化した。
ヒソカはつまんない、と細い目で血溜まりをちらりとみると、すぐに扉へと向き直った。
「また弱い人が来る前に行こ⭐」
ヒソカの言葉に、頷いて手を扉に当てる。
イルミも分かったよ、と手を扉に当てた。
ギギ…と重い扉が開いた。
扉の向こうには、100人は居ようかと言う大量の人。
各々手に武器を携えている。
『そいつ等は全員私が捕まえた凶悪犯罪者だ。全員倒せたら、下への扉が開かれる。犯罪者の生死は問わない』
スピーカーから試験官の声。
…あぁ、面倒臭い
「ラファ、何とかして⭐」
「…やだよ。ヒソカやってよ」
「念使っていいから…♥」
「えー…。はぁ…分かったよ」
イルミに下がっているよう言うと、イルミは大人しくヒソカの隣に立ち、俺の実力を見極めるよう腕を組んで凝視してきた。
俺1人だけ前に出てきたのを見て、ゲス顏をしてよだれを垂らした気持ちの悪い犯罪者達が笑った。
「おい!このチビ俺たちと戦うつもりだぜ!」
「おいおいチビだけかよー手応えねぇじゃん」
「とっととやろうぜ」
ゾロゾロと向かってきたのを確認し、精霊の言霊を発動させた。
「…“ヒソカとイルミ以外全員の首を跳ねろ”」
たった一瞬。
100人を超える犯罪者達が一斉に首から血を吹き、床に頭蓋骨が落ちる重い音を響かせた。
直後、崩れ落ちた身体によって暫く耳障りな音が響く。
3秒もすれば、立っているのはイルミとヒソカと俺だけになった。
「…終わったよ、ヒソカ」
「相変わらず容赦ないなぁ♥」
「…今の、一体どうやったの?」
イルミからの質問に、けれど悪いが答えられないと首を振った。
ガチャンッと音がして扉が開いた。
そこに出るとさらなるドア。
開ければ、建物の最下層だった。
『合格者1号 44番ヒソカ。合格者2号 0番 ラファエル=ルーシェ。合格者3号 301番 ギタラクル』
1番乗りしちゃった…
早すぎた、かなぁ…
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