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3次試験×決闘×暇つぶし
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どうやって時間潰そう…
丸くて薄暗い部屋をぐるりと見渡す。
さっきのアナウンスからして、あと65時間以上の時間がある。
…暇だ…
「んん…暇だねぇ⭐」
同じことを考えていたらしいヒソカがトランプから手を離して伸びをした。
「ねぇ…ラファ♥」
ギッと目を細めてヒソカが俺を捉える。
その視線に滲ませられた殺気の強さに、嫌な予感がする。
じりっと一歩下がってから楽しげに笑うヒソカを見た。
「何…」
「僕を鍛えて♦」
…ほら来た
「嫌だ…疲れるし」
「暇つぶしだよぉ…本気でいいから♥」
…本気…?
「…本気なんか出せないよ」
そんなことしたらヒソカを殺してしまいかねない。
「ね、ラファ…⭐」
ヒソカの肩越しにイルミを見ると、俺を凝視していた。
「…ねぇ、やっぱり強いの?」
近付いて来たイルミがじいっと俺を見つめる。
イルミに強いってバレるの面倒だから戦いたくないっていうのもあるんだけどなぁ…
でも、暇は暇。
「…分かったよ、ヒソカ。その代わり、石1つな」
「えぇー…僕だって強くなったのに…♠」
「…分かったよ、2つな」
何の話か分からないイルミを壁際まで連れて行く。
「…ここにいてくれる?イル…。怪我しないように、シールド張っておくから…」
「…俺も別に弱く無いんだけど」
怒りを滲ませた声でイルミが呟くように言う。
「…そういう問題じゃ…ない」
イルミの前で手をかざす。
「…“防御シールド”」
ヴヴン…と音がして、丸い光がイルミを包んで、一瞬で見えなくなった。
「ここから、出ないでね…」
出られないと思うけど。
「あ、ちょっ…」
声をあげるイルミを無視してヒソカの元へ。
「…本当に2つ?」
「うん⭐」
確認してから、シルバーネックレスに手を伸ばす。
クリスタルとムーンストーンを指でつまみ…ちぎり取った。
プツンと小気味のいい音がして小さな宝石ごとシルバーネックレスの飾りが取れる。
そのまま床に放る。
身体に充満する普段感じない力。
まだ本気までは程遠いが、解放されたオーラが心地いい。
其れを殺気に変えて一気に放出すると、ヒソカががくんと膝をついた。
小さく震え、細い目を見開いたヒソカに、殺気を仕舞う。
「ヒソカ、大丈夫…?」
「…大丈夫⭐」
よいしょと立ち上がり、ヒソカは俺を見据えた。
「いくよ…♦」
「何処からでも」
次の瞬間、目の前にトランプが飛んで来た。
其れを難なく手で叩き落すと、その隙をついたヒソカが俺の後ろに回り込んでいた。
…うん、動きは前より良くなってる…
でも俺の後ろを取ろうなんてまだ早いっ
一歩前へ飛びのけば、ヒソカの足は俺に届かなかった。
そのまま勢いをつけてヒソカの方へ飛び、驚いているその顔に蹴りを叩き込んだ。
大きく仰け反る身体に、さらに上から飛び蹴りを食らわし、地面に沈めた。
その間、僅か1秒。
ぐぁっとヒソカが一気に立ち上がった。
この打たれ強さ、好きだ…
反撃を予期して一歩離れる。
ヒソカは俺に念を飛ばしてくっつけると、そのまま俺を引っ張った。
除念も出来るが、そこまでではない。
「…甘い」
引っ張られた力を利用してその腹に蹴りをいれる。
顔が近付いて来たので、其れをそのまま右手で殴り飛ばした。
ヒソカが壁にのめり込み、痛そうな音がした。
げほげほと血を吐くヒソカを少し離れたところから観察する。
立ち上がったヒソカは、念を付けたトランプを俺の方へ投げた。
当然のごとくよけると、其れは反対の壁に突き刺さり…壁のレンガごともう一度俺めがけて飛んで来た。
その間にヒソカが移動しているのは目のはしに見えている。
「俺に2度も通用するわけ無いだろ!」
跳んで一気にヒソカとの距離を詰める。
拳でヒソカの腹を殴るのと同時に、後ろから飛んできたトランプが一枚、俺の頬を裂いた。
…へえ
「…”剣”」
剣を出し、其れでヒソカを追い詰める。
が、怪我をしたヒソカに大した力は残っていない…
あっという間に俺に蹴られて倒され、剣でその首を少し切られた。
自分の首元の地面に突き立てられた剣を眺め、ボロボロになったヒソカは少し笑った。
「…少しは強くなってただろう?♥」
「…あぁ。これはしてやられたよ」
頬の血を拭う。
「…」
神秘なる力を発動し、ヒソカの怪我をあらかた治す。
ついでに自分の傷も治した。
「…ねぇ、ラファ⭐強くなったんだから…ご褒美頂戴♥」
「普通逆だろ…」
「…ね?♦」
「…何がいい?」
ふふ、と笑ってヒソカは自分の口を指差した。
…昔から変わらない。
ちゅっと軽くキスすると、俺はヒソカから離れた。
満足したらしいヒソカは、ニヤニヤ笑いながら起き上がった。
イルミのシールドを解除すると、イルミにガッと肩を掴まれる。
「な、に…」
「…君、何者?あの強さ、普通じゃない…」
「…」
イルミから目をそらし、さっきちぎった分のネックレスを具現化で作り出す。
普通の念の量に戻し、イルミをもう一度見る。
「何者って…ただの子供だけど…」
「ラファは、僕のモノ♥」
いつの間に後ろに来ていたのか、ヒソカが楽しそうにくつくつと笑った。
ん…
「ラファと闘ったら、眠くなっちゃったなぁ…⭐」
「ん…俺も…」
「2人とも寝ていいよ、俺が起きてる」
イルミがそう言って少し微笑んだ。
「…ありがと、イル。じゃあ、ちょっと寝るね…」
「僕も…♦」
端まで行ってうずくまると、ヒソカに抱きかかえられた。
「このまま寝よ♠」
こく、と頷くとヒソカは微笑んで俺を抱きしめた。
「おやすみ、ラファ⭐」
「…お休み、ヒソカ」
そのまま目を閉じた。
「な…何だこのメンツ…」
起きたのはハゲ忍者が入って来た時。
4番目の合格者らしい。
「ん…」
目をこすると、ヒソカに顔を覗き込まれた。
「おはよう、ラファ⭐」
「おはよぉ…」
ぎゅうと抱きついてから、離れた。
暇だ…
「今、何時…」
「終了まであと39時間35分だ」
ハゲ忍者がわざわざ教えてくれる。
「んー…暇だ…」
伸びをしてハゲ忍者を見る。
「あんた、早いな。いつ来た?」
「6時間ちょっと…多分」
答えると、ハゲ忍者が目を丸くした。
「凄いな、名前、なんて言うんだ?」
「…俺はラファ。あっちは、ヒソカとギタラクル」
わざわざヒソカとギタラクルまで紹介したのに、その2人に関わる気はないようだ。
「そうか、俺はハンゾー!ジャポン出身で忍者やってんだ!」
「へぇ…」
だからはげなの?とは聞けない。
ハンゾーが一歩近付いてきたのに合わせて一歩下がる。
もしもプレート狙いでいきなり攻撃されたら堪らない。
と、ふとハンゾーが不思議そうに首をひねった。
「なぁラファ、アレ、何だ?」
そちらに目を向けると、ヒソカがめり込んだ跡がくっきり壁についてしまっていた。
「…さぁ…初めからじゃない…?」
取りあえず誤魔化しておく。
ハンゾーは納得していないように首をかしげたが、そんなことより、と突然目を輝かせて忍者という職業の素晴らしさについて語り出した。
適当に相槌を打って、何時間たったろう。
ぞろぞろと人が増えて来た。
ヒソカに目をやると、トランプを組み立てては壊して楽しんでいた。
ギタラクルは、其れを眺めながらカタカタ言っている。
いつの間にギタラクルの姿に戻ったのか…
と、ハンゾーの話が止んだ。
何かと目を向けると、ヤモリ…アモリ3兄弟が入ってきたところだった。
俺はアモリ3兄弟と仲良くするつもりはなく、ハンゾーと離れた。
「ヒーソーカー」
ヒソカの背中に抱きつくと、ヒソカは楽しそうに笑った。
「暇だよ、ヒソカ…」
「僕とトランプするかい?♣」
カタカタカタカタとギタラクルも乗ってきたので、ヒソカとギタラクルとトランプを始めた。
ヒソカもギタラクルも強い。
俺も、オーラや雰囲気を読んで応戦したけれど、経験が豊富で大人気なく本気な2人には太刀打ちできなかった。
「あー…」
これで8連敗。
ヒソカが5勝、イルミが3勝。
俺が勝てたのは初めの1回きり。
「…強すぎ…」
手の中に残ったたくさんのトランプを投げ出して寝転がると、ヒソカがそのトランプを丁寧に拾う。
と、地面の響きを感じた。
…来る、来る、何か
でっかくて、硬いものが…
「ヒソカ」
なぁに?と顔をあげたヒソカとイルミをそのまま立たせて2人の手をつかんで移動した。
予感は的中。
ゴンやキルア、クラピカたちが乗った大きな木の台車のようなものがさっきまで俺たちがいた場所に衝突して大きな音を立てた。
レオリオとトンパは見るも恥ずかしい顔をしている。
間に合ったと喜ぶゴンを見つめ、根性のある子だなぁと感心した。
ゴンたちが飛び込んできた直後、3次試験終わりを告げられた。
軽く伸びをして外へ出る。
久々の日の光…
「おい、ローラーボコボコじゃんか!どうしてくれんだよ、ゴン!」
「えへへ…ごめーん」
キルアとゴンが話している(責めてる?)のを聞きながら飛行船の来るのを待った。
「諸君、3次試験合格おめでとう」
カラカラと変な箱が引いて来られる。
「この中から紙を引いてもらう」
ヒソカの次に紙を引く。
80…?
「これによって決定したのは…狩るものと狩られるもの」
…なるほど
「4次試験ではプレートの取り合いをしてもらう」
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