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4次試験×闘わない×睡眠
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「3次試験を合格した順に島へ入っていただきます」
お姉さんが言って、初めにヒソカが呼ばれた。
「はいはい⭐」
久々にメイクをしたヒソカが、にこにこしながら島へはいる。
と、降りてすぐのところで止まった。
ざわつく受験生たち。
…そりゃ、こんなところでターゲットを仕留めようとしているのなら、ヒソカに狙われたものに勝機はないからな…
「次、受験番号0番の方」
俺が歩いて降りると、ヒソカは嬉しそうに俺によって来た。
「ラファ、行こ♥」
「…1人で大丈夫だよ」
「いいから、行こ♠」
ひょいと抱き上げられてしまう。
「ちょっ…ヒソカ…」
そのままガサガサと島の中へ入ってしまった。
「ラファ♦」
中ほどまで島を進むと、ヒソカは木の根元に俺をおろした。
「…何」
「ラファは何番が狙いのプレートなんだい?♠」
「…80」
紙を見せると、うーん…と考え込んだあと、
「誰か分かんない⭐」
「…俺も」
ヒソカに小さく同意してから紙を折りたたんでしまう。
「俺は一応この80番探してくるつもりだけど…ヒソカはどうするの?」
「えー、行っちゃうのかい?♣残念だ…♠せっかく連れて来たのに♦」
「ここに居たってプレート集まらないじゃん…」
兎に角残るつもりはないのだと伝えると、ヒソカは少し眉を下げて頷いた。
「仕方ないなぁ…♠僕は此処にいるよ♦」
ヒソカは大きめの木の下に腰を下ろすとひらひらと手を振った。
「…じゃあ」
そう言うと、俺は木の上に飛び上がった。
全ての受験生(ゴンたちとヒソカは除く)から狙われている俺は、地上より人に出会いにくい木の上を走ることを選んだ。
素早く木から木へ飛び移り、とりあえず島を一周している最中、突然飛び出して来たハンゾーに危うくぶつかるところだった。
寸でのところで木の幹に腕を回しハンゾーをよける。
ハンゾーも流石忍者と言ったところか、一度飛び上がって俺を避けたあと少し離れたところに着地した。
「わりぃわりぃ、前見てなくってよ!」
「…いや、俺こそごめん」
片手をあげて謝るハンゾーに軽く首を振る。
と、ハンゾーは慌てた様子で、目でアモリ三兄弟を追った。
「見逃しちまうから、俺もう行くわ!悪かったな!」
こく、と頷いてハンゾーと別れた。
1日目、結局80番は見つけられなかった。
湖のほとりに腰を下ろす。
水を煌めかせながら飛び上がる魚をそっと見つめ、その自由な動きに憧れた。
…俺も、自由なら…
…いや、今は自由だろう。
ヒソカの…おかげで。
「…自由」
ポツリとつぶやいた言葉は酷く儚げだった。
眠い…
けれど、寝たら餌食だ…
目をしっかり開いて座っていると、ガサガサと後ろから音がした。
振り向かずそのまま気配を探る。
相手は2人。
そのうち1人は知っている気配…。
これ、は…
「ほらっ早くしろよ!こういう時じゃないと0番なんてそうそう取れないんだからな!」
囁くように、けれど急かすような言い方。
この声は、トンパさん…
「わ、わかってるよ!」
これは誰だろう?
キーッ!と金属のように甲高い…声⁇
でも、今日島を見て回った限りではそんな動物鳥くらいしかいなかった。
木々を見上げれば、鳥たちが安らかに眠って居て…
…別の、何か。
別の……、そうだ、猿!
飛行船の中で騒ぎ立てた猿が居たはずだ。
つまり、あの猿の飼い主も今俺の後ろに居るということ…
はぁ…とため息をついてトンパたちを振り返った。
びくりと肩を揺らしたのが雰囲気からでもわかる。
「トンパさん…俺に何か用⁇」
「い、いやぁ、その…たまたま後ろ姿が見えたから元気かなって確かめにきただけだよ」
冷や汗をかきながら手を振るトンパが酷く嫌な奴に見える。
…仕方の無い
「トンパさん、俺まだプレート取れてないんだ。トンパさんたちのくれる?くれないなら…どっか行って欲しいな」
殺気を滲ませてそう言うと、トンパは冷や汗を流しながら両手を振った。
「そんな冷たいこと言うなよ、ちょっと来ただけじゃないか。プレートちょっと見せてくれれば良いんだよ」
「絶対、やだ…」
「っちっ、グダグダ言ってないで見せれば良いんだよ‼」
ガッとトンパに胸ぐらを掴まれた。
その隙に猿の飼い主が俺のプレートに手を伸ばす。
「やめ…ろっ!」
トンパごと猿の飼い主を腕で殴って飛ばす。
地面に転がって目を回している間に、そそくさとまた木の上へと上った。
結局、数日を浪費してしまった…。
手に入ったのは、197番のプレートのみ。
誰かから盗ったわけではなくて、地面に落ちて居ただけだ。
197番の一点にしかならないプレートを指の上でくるくる回しながら木の上へ座り、80番の人を目で探す。
「おい、お前、それ197番か?」
聞いたことのある声に振り返ると、案の定ハンゾーが居た。
「其れをくれねぇか?俺の狙ってるプレートなんだ」
「…他のと交換してくれるなら、いい」
「198ならあるんだけどよ、これでいいか?」
「…いい。どうせ、1点だし」
差し出されたプレートに手を伸ばし、自らもプレートを渡した。
「さんきゅ」
プレートを懐にしまったハンゾーは、去るかに見えてすぐにこちらを振り向いた。
「そうそう、あっちの方でなんかトンパたちが動いてるらしい。気をつけた方がいいぜ、特に0番のアンタはさ」
こくと頷くと、満足したように笑んで、ハンゾーはまた去って行った。
80番は、もうもしかしたら誰かに殺されてしまったのかもしれない。
しまったなぁ…
よっと立ち上がり、ヒソカの元を目指した。
「ヒソカ」
「ラファ♥プレートは集まったかい?♠」
「ううん、まだ一枚だけ…あれ、ヒソカプレート盗られたの?あげたの?」
「察しがいいなぁ♦ゴンに盗られたの♥まぁ、そのあと取り返してまたあげたんだけど♣」
「ふぅん…」
「そうだ、ラファ♥80番のプレート、僕が持ってるよ♣」
「ヒソカが殺したの?道理で見つからないと思ったけど」
「ううん、イルミが殺したの♥僕は其れを貰っただけ♦」
はい、と渡されるプレートに手を伸ばすと、サッと其れを隠された。
「…何」
「ラファ、僕寂しかったんだよぉ…?♦ここに、おいで♣」
膝の上を指し示すヒソカに近付き、座ろうとすると身体を掻き抱かれ、無理やり座らされた。
「ヒソカ…プレートちょうだい」
「ラファのもね♠」
プレートを交換し、お互いの懐に仕舞う。
「ラファと折角ずっと居られると思ってたのに…⭐」
「…イル兄は?」
「そこで寝てる♦」
もっこりした地面を見つめ、ヒソカの元から立って少し掘り返して見た。
黒い頭が覗いて、変装は解いているのだと分かる。
もう一度優しく埋めて、ヒソカの所へ戻った。
「ヒソカ…俺寝ても良い…?ずっと寝てなくて…」
「もちろん♥ちゃんと見ててあげる♦」
「ありが、と…」
ヒソカに抱きついて、そのまま眠りについた。
きっとここよりも寝心地のいい場所を、俺は知らない。
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