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面接×うどん×最終試験へ
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「ラファ、ラファ♥起きて♦」
ヒソカの声でそっと目を開くと、眩しいほどに太陽が照らして居た。
「ん…何…?」
薄目を開けると、目の前にはニマニマ笑うヒソカと覗き込んでいるイルミ。
「もう収集の時間だ…⭐」
「もうそんな時間…?ごめんね、ヒソカも寝させてあげるつもりだったのに…」
「そんなの飛行船の中でいくらでも寝れるデショ?♦」
ふふと笑ったあと、ヒソカは俺を抱いたままスタート地点へ向かって歩き始めた。
一歩遅れてイルミが顔に針を刺し直しながら付いてくる。
「ヒソカ、俺、自分で歩けるよ…?」
「いいの⭐僕が運びたいんだから♦」
自分のプレートがちゃんとあるか確認して、ヒソカの首に抱きつくと、ヒソカはくすぐったそうに笑った。
人を痛めつける時とは違う、自然で綺麗な笑み。
俺はその顔が大好きだった。
「はい、0番、44番、301番の方合格です」
プレートを確認した女の人に言われ、飛行船に乗り込む。
「1番乗りだったねぇ♥」
「ヒソカ歩くの早いんだもん」
前へ飛ぶ独特の走りを歩くと形容して良いのか。
「ヒソカ、寝る?」
「そうだねぇ、其れじゃあラファの膝枕借りようかなぁ♦」
「いいけど…柔らかくないよ?」
「ラファの膝枕がいいの⭐」
壁に添わせて俺を座らせ、ヒソカは俺の膝を引っ張り太ももを枕にして笑った。
「おやすみ、ラファ♥」
「…おやすみ、ヒソカ。いい夢を」
そっと目を閉じたヒソカを撫でていると、イルミが興味深げにヒソカを覗き込んだ。
「イルミ?」
「今はギタラクル。ヒソカも寝るんだなぁと思ってね…」
「ヒソカは結構寝起き悪いんだよ、いつも俺が起こしてた…」
ヒソカの懐からトランプを勝手に拝借する。
投げているはずなのに減らないトランプの謎は、その懐を覗けば万事解決。
3組のトランプが顔をのぞかせていた。
一つ取って手の中で弄んでいると、ジョーカーの絵柄が一つおかしいことに気づいた。
見ると、一つはいつも通り道化師が描かれているが、もう一つのジョーカーは…俺が描かれている。
…なぜこんな所で特注…
はぁっと息をついてヒソカの顔を見たあと、ヒソカのようにトランプタワーを作り始めた。
もちろん、ヒソカを起こさないように。
5回目のトランプタワーを壊した頃、皆が飛行船に乗り込んできた。
ゴンが落ち込んでいるようだったから声をかけようかと思ったけれど、キルアとクラピカが其れを察していたようだったから、多分俺は必要ないだろう。
暫くすると、皆(俺とヒソカとイルミは除く)が丸くなって座り、最終試験についての談義を始めた。
「今までの試験から推測することは出来るぞ」
ボドロさんという舞踏家の叔父さんがおどろおどろしい口調でそう切り出し、一次試験から四次試験までの要項を挙げる。
…本当にそんな意図あったのかなぁ…
他はともかく、トリックタワーは多分試験官さんのお楽しみだと思うけど…
「よってここから導き出されるのは…」
「それは…?」
「ペーパーテスト‼」
全員の動きが止まり、信じられないと目を見開いた後頭を抱え、ハンゾーが図書室の存在を口にした途端散り散りに図書室へ走っていく後ろ姿を見てボドロさんが
「などとなんの根拠も無い適当なことを言ってしまったが…」
と呟いた。
「まあよし!」
…何がいいんだろう。
俺は図書室はいいかな…
今からじゃ覚えきれないと思うし…確信もないし…
…そうだ、後でうどんでも作ろうかな、ヒソカとギタラクルにもあげようかな…
『受験生の皆様にお知らせします。これから番号を呼ばれた方は、1人ずつ応接室まで来てください。受験番号0番の方、お越しください』
うーん…
「ヒソカ、ヒソカ、起きて」
「ん…♦何だい、ラファ…♠」
「受験生は1人ずつ順番に応接室まで来いって、俺が最初だから俺いかなくちゃ」
「…そう…⭐」
「ヒソカ一緒に行こう?俺場所分からないんだ」
「んー…いいよ♦」
目をこすり、ふぁっと欠伸をしたヒソカはにっこり笑い、行こうか⭐と立ち上がった。
コンコンッ
「失礼します…」
部屋の前でヒソカが待機するので、俺だけ中に入った。
掛け軸のある狭い部屋だ。
「ホッホッホ、まぁ座りなされ」
言われて、畳に座る。
「まず、お前さんがハンターを目指したキッカケは何じゃ?」
「…ヒソカに誘われたから」
「ふむ…お主と44番の関係は?」
「…親子兼師弟関係です」
「ほほぅ…それでは44番にはあまり隠し事がないのじゃな?」
「まぁ、今の所はないですけど…」
そう答えると、ネテロはホッホッホッと笑った。
「では、入りなされ、そんな所でドアに耳当てていても仕方がなかろうて」
「なぁんだ、バレてたの♠」
ドアを開けて、ニンマリ笑ったままヒソカが入ってきた。
俺の隣に座ると、俺をそのあぐらの上に乗せた。
「ふむ、お前さんがハンターを目指したキッカケは?」
「資格があると何かと便利だから⭐」
「例えば?」
「ぅーん…例えば、人を殺しても免責になる場合が多いしねぇ♦ブラックリストハンターなら、お尋ね者の生死は問わないなんてことはザラでしょう?♣」
「ふむ。それでは、お主と0番の関係は?」
「さっきラファが言ってた通りだよ♦付け足すなら、ラファは僕の好きな人っていうことかなぁ♥」
「ヒソカ…何言ってるの」
事実だろう?⭐と笑うヒソカに少しため息をついた。
「この中で1番注目しているのは?」
並べられた写真に目をやる。
「注目…?うーん…ヒソカとギタラクルかなぁ」
「僕は、ラファと99番かなぁ♠405番も捨てがたいけどねぇ♣」
「では、1番戦いたくないのは?」
「…戦わないといけないなら誰とでも戦う」
「405番かなぁ、今はまだ戦いたくないの⭐」
「…では、最後の質問じゃ」
トントンと写真を片付けながらネテロが言い、勘違いでなければ少し顔を引き締めた。
「お主は、何でも屋のファルコン…で、間違いないな?」
「…どうして知ってる?」
「わしの情報網を舐めてはいかんぞ?まぁ、都市伝説みたいな噂がほとんどじゃったが、偶然この試験に訪れる事を知ってのう、お主の背格好をマーメンに伝えておいたのじゃよ」
「…其れじゃあ、今までラファをこんな目に合わせたのは…?♦」
「これは噂なんじゃが、何でも凄く強くて人間じゃ太刀打ち出来ないほどだと聞いてのう。確かめたくなったのじゃよ」
「…僕強くありません」
ヒソカから殺気が垂れ流しになるのでその腕を掴みながら答えた。
「アンタねぇ…うちのラファを傷つけたらタダじゃおかないよ…?⭐」
「ヒソカ、やめて」
辛かったし悲しかったけれど、このお爺さん…タダのお爺さんじゃない。
ヒソカが傷つくのも、お爺さんが傷つくのも嫌だった。
「でも、ラファ…彼のせいで君はあんなに辛い目にあったんだよ?♠」
「僕なら大丈夫だから…ね?お願い、ヒソカ」
「…本当に?⭐」
「本当。俺はヒソカが居てくれれば頑張れる…」
「傷つけてしまったのはすまなんだ。しかし、他の受験生をあのように差し向けてもお主の実力は結局分からんかったわい。44番とずっと一緒に居たしのう」
「あのねぇ…アンタ♦ラファは人を傷つけるのが大嫌いなの⭐当然誰かに守ってもらうのが普通の考えだと僕は思うけどねぇ…♠」
「その割には、何でも屋としてたくさんの人を殺しておるようじゃのう?」
ネテロがまるで試すように言って、ジロリと俺の目を見た。
「仕事は仕事…」
嫌なお爺さんだ…
「…アンタと殺ってみたいねぇ⭐」
「時間を取らせてすまなんだ、もう下がって良いぞ」
ネテロに言われてヒソカと一緒に部屋を出ると、曲がり角の向こうからレオリオとハンゾーとポックルの声がする。
…何だろう
お前行けよ、いやお前がいけって、何で俺が、と暫く攻防が続いた後、負けたのかポックルが転びそうになりながらヒソカの前に立った。
「どっ…どうだった?最終試験」
最終試験?
「バッチリ♥」
ヒソカは意地悪く笑んでそう言った。
「な、何が出たんだ!?」
隠れているのは辞めたのか、レオリオとハンゾーも出てきた。
「ヒミツ♦行こ、ラファ♣」
歩き始めたヒソカについていく。
「…良いの?」
「いいの♥」
ほら早く、と急かされて手を引かれるが、その手をそのまま引っ張ってヒソカを止めた。
「待って」
「なぁに?♦」
「キッチン、あるかな。作りたいものがあるんだけど…」
「確かあっちに食堂あったよ♥でも、何作るんだい?⭐」
「ヒソカのごはん」
うどんの生地をこねて、踏む。
勿論ブーツは脱いだ。
ヒソカが机の向こうからずっと見ていて、何だか作りづらい…
「…何、ヒソカ」
「何でもないよぉ…♠」
「そんなに見られると作りづらいんだけど…」
「うぅん…ラファ可愛いなぁと思ってね♥」
はぁ?
えっさえっさとうどんを踏んでいたら、クラピカが来た。
「なぁ、ゴンとキルアを…って、何してるんだ?」
「ラファが僕のごはん作ってくれてるの♦」
ヒソカが嬉しそうに言って、小さく声を立てて笑った。
「ご飯…?口にするものを踏んでいるのか?」
「こうやって作る料理なの…ジャポンのうどんっていうんだけど…知らない?」
一通り伸ばし終わった生地をねかせながらブーツを履く。
「…クラピカも食べる?」
「いや、私は…」
「そう…其れじゃあゴンでも呼んでこようかな」
「ゴンを、呼ぶのか?」
「うん…ヒソカの分にしては多いしね」
おつゆにするため、昆布と椎茸と鰹節で出汁を取りながら答えると、クラピカは少し考えた後、
「…やはり私もいただいてもいいだろうか」
と呟いた。
「いいよー、ついでにゴンとキルア呼んで来てくれる?飛行船のベランダの先に居るから」
「な、なぜ其れを…?」
「んー…気配、かなぁ」
出汁の良い匂いに、俺までお腹が減ってくる。
俺も食べようかなぁ…
お醤油や味醂で味を整え、ゴンやキルアが来るのを考えながらうどんを切り始めた。
クラピカside
ラファに言われた通り、飛行船のベランダを見に来ると、ガラスと向こうにゴンとキルアを見つけた。
釣竿を降って鳥を狙う2人は微笑ましい。
「あの2人には、最終試験への緊張なんてまるでないな」
「全くだ」
いつの間にか近くに来ていたレオリオが言い、優しく笑った。
「お前も見習ったらどうだ?」
「うるさいわい」
こんな軽口を叩ける相手が出来るとは思わなかった。
初めはなんていけすかない奴だと思っていたからな…
「ゴン、キルア」
ドアを開け2人に話しかけると、2人はすぐに振り返った。
「あ、クラピカ!どうしたの?」
さっきまで落ち込んでいたのは何処へやら、キルアも安心したように笑った。
「ラファが、ご飯を作ってくれたからゴンとキルアを呼んでくるようにと頼まれたんだ」
「本当!?わーい!俺お腹空いてたんだぁ」
「あいつ料理なんてできるのかよー」
ブツブツいいながらもキルアも行く気みたいだ。
「おい、俺様は?」
「そういえば、お前は呼んで来いとは言われなかったな」
「俺様だけ仲間外れかよ!?でも構わねぇ、俺様も行くぜ!」
「そんなにあるだろうか…」
「無かったらお前のぶん食ってやる!」
そう鼻息を荒くするレオリオは子供のようで、ゴンとキルアも楽しそうに笑った。
本当に、このメンバー全員で合格できたらいいのにな…最終試験。
「…はい、待ってたよ」
レオリオが増えたことは気配からすぐに察知できたので、4つ既にうどんをつけ終わっていた。
「ありがとう!いっただっきまーす!」
「いただこう」
「おっ俺様の分もちゃんとあるじゃねぇか」
「…いただきます」
皆思い思いにうどんを食べ始めたのを見てから、俺も自分の分とヒソカの分を注ぎ、席についた。
「はい、ヒソカ」
「ありがとう⭐」
「うめぇー、生き返るぜ!」
「ふむ、確かに美味しいな」
「美味しいよ、ありがとうラファ!」
「…まぁ、うまい…な」
「…あのねぇキミタチ⭐美味しくないなんて言ったら僕が殺しちゃうよ♦僕はいつもラファのご飯食べてたんだから♠」
ヒソカが口から油揚げを垂らしながら言って、ゴンが意外そうに首をかしげた。
「ヒソカ、料理しないんだ」
「僕はあんまり細かい作業は好きじゃないの♦」
ごちそうさま、とヒソカがはしをおくと、皆だいたい同時に食べ終わった。
片付けておくからいいといったのだけれど、結局皆手伝ってくれ、あっという間に片付けが終わった。
「ありがとう」
「自分で食べた分くらいは自分で片付けないとな」
クラピカがつぶやくようにいい、うん、うんとレオリオが頷く。
夫婦見たいだな、この2人…。
『まもなく、最終試験会場へ到着いたします』
アナウンスが響き渡り、皆(ヒソカ以外)が顔を引き締める。
「…やっときたようだな」
「絶対、合格しようね」
ゴンがぎゅっと手を握り、キラキラした目で俺たちを見つめた。
「あぁ、きっとな」
レオリオも、強い目をしていた。
「降りるぞー」
キルアが言い、皆それに続いた。
その背中を見ながら、俺はヒソカと一緒にギタラクルを探しに行った…
(「ギタちゃん、もうつくよ⭐」「えっもうそんな時間?」「全くー何やってたんだい?♦折角ラファがうどん作ってくれたのに…♣」「ちょっと考え事をね、キルのことで」「本当に君は好きだねぇ…♥」「ヒソカだってラファのことばっかり考えてるだろ」「僕のは恋だもの♥」「…ヒソカが言ったら多分全員が否定するよ、それ」「…2人ともいいから早く行こうよ」)
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