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旅立ち×ライセンス×飛行船
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一人一室用意され、明日の説明会まで寛いでと言われた。
ご飯はルームサービスが利用できるとか。
「ラファ、一緒の部屋にしようよぉ…⭐」
「一人一室だろ?」
「いいじゃない♦ね?♠」
「…はいはい」
ヒソカに割り当てられた部屋に2人で入ると、2人部屋でもおかしくないくらいには広かった。
「でもやっぱりベッドは一つか…」
「いいじゃない、一緒に寝れば♦」
「…まぁ、そうだな」
頷いて立ち上がると、ヒソカが首をかしげた。
「何処行くのぉ…?♥」
「ご飯、作りに」
「ルームサービスがあるじゃない♠それじゃ嫌なの?♣」
「良いんだけど、ヒソカ嫌がるだろ…」
と言って離れようとすると抱き込まれてベッドに引きずり込まれた。
「ラファ、試験お疲れ様♥たまにはご飯作るのもお休みして、身体休めて♣ね?⭐」
「ヒソ…っンッ」
ちゅぅ…っと吸い付かれて、ぬるっと舌が入り込んで来る。
「んっ…ふ、…ひそっ…か、ぁっ…」
突然すぎて上手く息が出来ない。
そんなの初めてで、慌ててヒソカの胸を押した。
脳に酸素がいかなくなったころ、やっと解放してくれた。
「はぁっ…はぁっ…」
「ラファの乱れた顔見るの、何年ぶりかなぁ♥」
楽しそうにヒソカは笑って俺を抱きしめた。
「やめ、ろよ…っ苦しかっただろ…」
「苦しそうなラファも好き♥」
「悪趣味」
ぎっと睨みつけると、
「そんなに睨まないでおくれよ…⭐興奮しちゃうじゃないかぁ…♦」
と、全く違う方向のコメントが返ってきた。
「…辞めてよ、これ以上ヒソカと戦うつもりないよ」
「はいはい♦」
そう言うと、ヒソカはよいしょっと立ち上がって各部屋についている呼び出し用の受話器をとった。
「ラファ、何食べたい?⭐」
「俺はなんでも…」
ベッドから起き上がりながら答えると、どうやら繋がったようでヒソカがにぃっと笑って話し始めた。
「あ、あのねぇ、パスタのペペロンチーノとカルボナーラひとつずつ、其れからフォッカチオ2つとコーンスープ頼めるかい?⭐」
「…!」
カルボナーラ、フォッカチオ、コーンスープ…全部俺の好物だった。
子供みたいな好みだとヒソカにはよく笑われたけれど…まだ覚えててくれたんだ…。
「うん♦あ、飲み物は紅茶でいいよ♠え?⭐あぁ、二人分だけど全部僕の部屋に運んでくれれば良いから♥別に僕の部屋で2人食べても問題ないんだろう?♣」
くっくっく…⭐と喉を鳴らして、受話器を置いた。
「ヒソカ、覚えてたの」
「当然♥自分の育てた子の好みを忘れるわけないじゃない♣」
俺の隣に座ると、ヒソカはわしゃわしゃと俺の頭をかき回した。
「先にお風呂にするかい?⭐」
「…ん、そうだな」
「ラファ、先に入って良いよぉ♦」
「…ありがとう」
そう言って立ち上がると、シャワールームへと向かった。
…ヒソカの口元が笑んでいるのにも気付かずに。
「…すごいな」
お風呂は綺麗な乳白色をしていた。
映画のワンシーンのように、花が生けられ泡がモコモコと水面に踊っている。
シャワーで一通り体を流すと、その中へ体を沈めた。
暖かくて気持ちがいい。
ふぅっ…と息をつくと、脱衣所からヒソカの声がした。
「どうだい?♥部屋に備え付けてあったバスミルクを入れてみたんだ♦」
いつそんな暇があったのかと考えてみたけれど、如何せん思い出せない。
「気持ちがいいよ。泡も…」
「そう、良かった⭐僕も入っちゃお♦」
「えっ、ちょっ、ヒソカ」
「なぁに?♥」
ガラリと戸が開いて素っ裸のヒソカが当たり前の顔をして入ってきた。
「後でって言ったじゃん!」
「後でとは言ってないよぉ♦先にどうぞって言っただけ⭐」
「一緒だろ!」
「いいじゃないの、この間一緒に入ったんだし♥」
ヒソカがざぷんっと中に入って来ると、一気に狭くなる。
ヒソカは無駄に長い手足で俺を捕まえ、抱き込んだ。
「…そうだけど」
其れでもこの年で一緒にお風呂入ろうも無いと思う。
「一緒に住んでた頃みたいだねぇ♦」
ヒソカの言葉に何も言えず黙り込むと、ヒソカは眉を少し下げた。
「ごめんよラファ、そんなつもりで言ったんじゃ無いんだよ♠」
ぎゅぅ…と大切に抱きしめられて、暖かいお風呂が更に暖かく感じた。
ご飯もお風呂も済ませ、寝る支度をしている途中でイルミが部屋を訪ねてきた。
「ヒソカ、ちょっといい」
疑問系にもせず鍵をかけてあったドアを難なく開けて入ってきたイルミに、ヒソカが苦笑した。
「あのねぇイルミ⭐勝手に開けないでよ、鍵壊れちゃっただろ♦せめて普通に入ってくれないかなぁ♣」
「ヒソカに普通とか言われると思わなかった」
特に謝るでもなくヒソカに近付き、ソファへ腰を下ろすと、その時始めて俺を認めてイルミは少し驚いた顔をした。
「どうして君がいるの?」
「え…ヒソカに誘われたから、かな」
「ふぅん…まあいいや。仕事の話しに来たんだ。今度の仕事、ちょっと大掛かりだから手伝って欲しいんだけど」
「どんな仕事なんだい?⭐」
聞き返したヒソカにイルミが何か難しい単語をたくさん並べ立てるのを、ベッドに寝転がりながら聞いていたけれど、途中で寝てしまった。
おやすみ、と、ヒソカの声がした気がした。
「ん…」
カーテンの隙間から差し込む日差しに目を開く。
時計を見ると、ライセンスの説明まであと一時間ほどだった。
もう起きてご飯を食べた方がいいだろう。
「ヒソカ、朝だよ、ヒソカ」
ゆさゆさと揺さぶると、ヒソカはんん…と少し声をあげたが起きる気配は無い。
はぁ…とため息をついてから指を立てた。
「“カードの導き”より“バンジーガム”」
指の上に現れたトランプ(バンジーガムという表記と絵が入っている)がくるくると回り、光り輝いた。
其れが消えた時には、俺の手には変化系のねちっこい念。
其れでヒソカの腕と足首を縛り上げて天井に貼り付けた。
「んんっ…⭐ラファ…?♥」
「おはようヒソカ」
「これは…念?♦」
「うん」
ぐいと念を縮めてヒソカを下ろした。
「バンジーガムみたいだねぇ…♣」
「みたいじゃなくて、バンジーガムだよ」
再びカードに戻ったバンジーガムは、指先で回ったあと消えた。
「また新しい念を作ったのかい?♥」
「うん、まぁね。いいから早く起きなよ、ライセンスの説明まであと一時間ないよ」
「そう…⭐じゃぁ、ご飯頼もうか…♦ラファは何がいい?♣」
「…何でもいい」
そう答えてベッドから立ち上がると、洗面所へ顔を洗いに行く。
一通り身支度を整えて戻ると、ヒソカが不思議そうな顔をした。
「いつもあまり気にしないのに、今日はどうしたんだい?♠」
「…シルバさんに会うから、変な格好できないだろ」
…あの人は過保護なんだから。
「あぁ…そうだねぇ⭐注文はもうしておいたから、すぐにくると思うよ♦」
「何頼んだの?」
「ラファには、キャラメルマキアートとフレンチトースト♠僕は、コーヒーとパンケーキかな♦」
ラファの作るのほど美味しくないと思うけど♥と笑いながら、ヒソカは洗面所へと消えて行った。
ライセンス説明会場は結構広かった。
実際説明を受けるのは8人だけなのに。
「どうぞ、此方がライセンスカードになります」
マーメンに渡されたライセンスに目を落とすと、ヒソカのと俺のは違った。
「ラファの、それ、ダブルハンターのライセンスカードじゃない?♦」
ヒソカがそう言うと同時に、ネテロがおほんっと咳払いをした。
「えー、今出たように、ラファエル君だけダブルハンターのライセンスカードになっておる。というのも、ちゃんと理由があってのう。お主達は、ファルコンという何でも屋を知っておるかのう?」
ネテロの問いに、大抵の人が知っていると頷いたり顔をあげたりして肯定した。
「そのファルコンこそがラファエル君なのじゃよ。ファルコンは貧民層に学校や食料支援、寄付を行う他戦場に赴いて治療の手助けもしておってのう、社会に皆よりちと早く貢献しておる。その活動の素晴らしさもあってダブルハンターになったわけじゃよ。意義の有るものはおるかのう?」
…いや、そんなことより何バラしてくれてるの…
最悪だ…皆の好奇の目が俺に向けられている。
「おらんようじゃの」
「…俺、いらない、この肩書き」
俺の言葉に全員の視線が集中する。
「ねぇ、俺普通のでいい。あと、ファルコンのことバラさないで欲しかった」
「…ラファ♠」
ヒソカの手が俺の腕を強く抑えた。
「…離してヒソカ」
「だぁめ⭐ラファ、いつも怒らないんだから怒っちゃダメだよぉ♦地球が消えちゃうじゃない♣」
「…怒ってない」
「それじゃあどうしてこんなに殺気立ってるの?♠」
「うるさい。黙っててよヒソカ」
ファルコンは、殺人や奪還をも請け負う、つまりは…危険な敵が多い。
中には、誰かの仇で俺を狙う人もいる。
ファルコンファルコンと言いふらして、俺の周囲の人に迷惑がかかるのは避けたかった。
何のためのネット匿名だと思ってるんだ…。
「ラファ、怒るなら僕をまた刺してくれる?♥その、腕で⭐」
ビキッ…ビキキ…ッと肉体操作され鋭くなった腕を、ヒソカが大切そうに手で包み込んだ。
「もう一回、僕の体…貫通させてみるかい?♥僕はそれでも良いよ♦」
耳元で、そっと囁かれた言葉に、頭が冷えた。
手からも力が抜け、殺気もいずこへか消えた。
「…ごめん、ヒソカ」
「いえいえ♣僕は大丈夫だよぉ♦」
よしよしと撫でられ、ダブルハンターのライセンスを手に持たされた。
「ラファ、これもらっておきなよ♥あったら便利だから、ね?♠」
「…うん」
渋々受け取るとヒソカは満足気に笑った。
長々とした説明は、マーメンさんの丁寧で単調な声で続けられた。
「んん…」
「ラファ?♠」
「眠い…ヒソカぁ…」
「はいはい⭐寝て良いよ♦」
ヒソカの肩に寄りかかり、目を閉じた。
次に起きたのは、ゴンの怒鳴り声で、だった。
あまり良い起き方じゃない。
「何…」
イルミが腕をおられて居るのを見る。
「ゴン、力強いんだなぁ」
「ラファからしたら全員弱いような気がするケド…まぁいいや♥」
「大丈夫かなぁ、あとで治してあげようかな」
「えぇ?♦イルミに使ってあげるの…?⭐僕だけだと思ってたのに…♠」
「…拗ねないの、そんなことで。俺が今1番長くそばに居るのはヒソカなんだから」
そう言って頭を撫でると、ヒソカは単純にも少し嬉しそうな顔になった。
「…そうだね⭐」
「2人は今からどうするの?俺はとりあえず帰るけど」
「イルミと一緒にイルミのおうちに帰る♥」
ヒソカの言葉に、イルミが顔を顰めた。
「何言ってるのヒソカ、全然面白くないんだけど」
「ごめんねイル兄、でもシルバさんからの依頼でゾルディック家にお邪魔しなきゃならないんだ。一緒に飛行船で行ってもいい?」
「父さんから依頼?本当なのヒソカ」
「本当だよぉ♦」
ヒソカがにっこり笑って頷くと、イルミは一つため息をついて、背を向けた。
「飛行船、こっちだから。早くしてよ」
「あっ、待ってイル兄!腕、見せて!」
そのまま歩き出したイルミを慌てて止めて、折れた腕を手に取る。
神秘なる力を発動させ、腕に押し付けると、腕はあっという間に普通に戻った。
「…へぇ、凄いね、回復もできるんだ。具現化系か、変化系?」
「…分からない。調べたこと、無いんだ」
はい、終わりっと明るく言うと、イルミは暫く腕を見つめたあと、ありがとうと呟いてまた背を向け歩き出した。
慌てて其れについていくと、大きな飛行船が1機、止まっていた。
「あれ、うちのだから」
出迎えに来た男の人2人にイルミが何事かを話すと、男の人が俺とヒソカに頷いた。
「お話は伺いました。シルバ様の元まで短い間ではございますが、少しでもおくつろぎくださいませ」
「こっち、2人共」
イルミと男の人に言われるままに、飛行船に乗った。
オマケ
「…ねぇ、僕、後半ほとんどラファと話してないんだけど…♠」
「いいんじゃない?いつもヒソカの台詞ばっかりだしたまにはさ」
「イル兄とだって話したいんだもん」
「ところでさ、そのイル兄って呼び方…何?君なに知ってるの?」
「あ…ごめ…つい、くせで…」
「…2人とも言ってるそばから…っ♣もう、嫌い!♠」
「あ、ごめんってヒソカ、ね?機嫌直して」
「…ラファがキスしてくれるなら考えてあげる⭐」
「…あのさ、俺の前でいちゃつかないでくれる?」
「何もしてないだろ、俺!」
「早くしてよぉ♦」
「ヒソカうるさい!」
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