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家族×ゾルディック×違和感
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ゾルディックの敷地内に下ろしてくれるのかと思いきや、下ろされたのは門の前だった。
「中までそのまま入っても良かったんだけど、うちは一応この門通れる人しか入れないから」
イルミはそう言って俺を見た。
「ヒソカは入れるの分かってるけど、ラファはまだ分からないからね」
まぁ、入れるだろうけどと呟いてイルミは先にドアを開けて中へ入った。
扉は5まで開いていた。
「ラファ、先に行くかい?♦」
「…俺が開けるからヒソカとりあえず先に入っていいよ」
ドアに手をつけ、力を込める。
6の扉まで開けると、ヒソカと共に中へ入った。
それを見ていたイルミはへぇ…と小さく反応を示したあと、背を向けて歩き出した。
「あ」
俺がミケに気付くのと、ミケが俺に気付くのが同時だった。
走り寄って来る巨体に、何もせずそれを受け入れ頭を撫でると、ミケは満足そうに笑って俺に頭をこすりつけた。
「よしよし…いいこにしてた?」
ミケは甘えたような声を出すと、自分の頭を低くした。
「え…乗っていいの?」
再び甘えた声を出すと、ミケは体も低くした。
「ねぇミケ…ヒソカとイル兄も乗っていい?」
聞くと、ミケはこくと頷いた。
「ありがとう、ミケ!」
抱きしめて撫でる。
可愛い…。
ミケの首にまたがると、ヒソカとイルミも乗るよう促した。
ヒソカは
「大丈夫なのかい?♦」
と言いながらもミケに乗ったけれど、イル兄は何やらブツブツ言っている。
「イル兄?」
「…ミケは誰にも懐かないはずなのに…君、何したの?」
「…イル兄、とりあえずシルバさんのところに」
そう言うと、イル兄はとりあえずミケに跨った。
「ミケ、いいよ。ゾルディック本家に向かってくれる?」
ぎゃぉんっと何ともつかぬ声をあげたあと、ミケは走り出した。
ミケは大きくて足も長い。
普段は迎えにきてもらうくらいに広いのに、あっという間にゾルディック家に着いた。
「ありがとうミケ、助かったよ」
大きな顔を抱きしめて撫でると、ミケは暫く俺に顔をこすりつけて居たが、やがて離れた。
「じゃあ、また今度ね、ミケ」
ミケはぎゃぉんっと鳴くと、また門の方へ走り去った。
「ラファは本当に動物好きだねぇ…♦」
「可愛いじゃん、ミケ」
「…♠」
口元は笑ったまま、ヒソカが眉を下げる。
…あぁ、これは困った顔だ。
つまり、ヒソカにとってミケは可愛くない。
…あの可愛さがわからないなんて…。
「ただいま」
家の扉を開け、イルミがシルバの部屋まで案内してくれた。
シルバの部屋にはいると、イルミはすぐに挨拶をして父親に近付いた。
「ねえ父さん、ラファとどういう関係なの?父さんが仕事の依頼することなんて今までなかったのに」
「…イルミ、其れはきっとそのうち分かるから焦るな。良くきたな、ラファ」
「…お久しぶりです、シルバさん。今回のご依頼は何でしょう」
「ラファ、硬い話し方をするな。以前のように、私を呼んでくれ」
「…そんな、こと…できません。ごめんなさい…シルバさん」
「…おいで、ラファ」
再びシルバが言い、左右に首を振ると、シルバは俺に手を伸ばした。
「いいからおいで」
「…」
「依頼だ、ラファ」
「…はい」
シルバに近づくと、俺はシルバに強く抱き締められた。
「…シルバさん…やめてください。皆見てるのに…」
「おかえり、ラファ。無事ハンターになれたようだな」
そのままシルバの体躯のいい体に持ち上げられ、抱っこされた。
「ちょっと…シルバさん…」
「ラファ、その呼び方はやめろ。俺はお前を息子だと思っているしここはお前の家だ。俺は…お前が好きだぞ、ラファ」
「…シルバさん…」
「シルバさん、じゃない。何て呼ぶのか…覚えてるだろう?ラファ」
「…とう、さん…?」
「あぁ。おかえり、ラファ。大きくなったな」
高い高いをされて、またぎゅうと抱き締められた。
「父さん、ただいま…っ」
首に抱きつくと、大きな手で頭を撫でられた。
「あらあら、ラファ、帰って来たのね!」
ドア口を通りかかったキキョウとゼノを見つけ、シルバの腕の中から二人に走り寄った。
「母さん、ゼノじい、ただいま…!」
まだこう呼んでいいのか少し不安ではあったけれど、2人はとても喜んでくれた。
「おかえりなさい!あなた、今日はお祝いね!」
「おかえり、良く帰って来たのうラファ」
ぎゅうと抱きつくと、ゼノじいは笑って俺をぽんぽんと撫でた。
ゼノじいよりもいつの間にか俺の方が大きくなっていた。
「ねぇ、どういうことなの?父さん、説明して欲しいんだけど」
イルミがシルバに詰め寄るが、シルバはそのうちそのうちと言って全く取り合わないため、イルミはため息をついて俺のフードを掴んだ。
フードが外れる。
「ねぇ、俺の家族とどういう関係なの?」
「…ごめんなさい」
このごめんなさいは、言えない、という意味半分、関わってしまってごめんなさいという意味が半分…
「ごめんなさいって何?別に謝ってとは言ってないんだけど」
「ねぇ、イルミ…♠それ以上僕のラファを責めたら、殺しちゃうよぉ…?❤」
横からヒソカがトランプを持った手を伸ばし、イルミの腕に近づける。
「喧嘩はやめて…」
ヒソカの手からトランプを取ると、ヒソカはむっとした。
「ラファのためなのにぃ…⭐」
「…ありがとう、でも、仲良くして欲しい…」
「ラファがそう言うなら仕方ないなぁ…♠」
ヒソカがおとなしくトランプをしまってくれる。
イルミは不服そうな顔をしながらも、渋々俺のフードを離した。
「キル!」
キルアの居場所をゼノに教わり、拷問部屋に入ると、キルアは上から吊るされていた。
「ラファ!?どうして…」
「父さんからの依頼でね?」
「父さん?」
「うん、シルバさん」
近くのコンクリートに座る。
「キル、多分もうすぐゴンたちが来るよ」
そう伝えると、光のなかったキルアの目に僅かに光が灯った。
「…でも、来ないよ。俺の家だぜ?」
「来るよ。キルも、そう思うでしょ?」
「…」
キルアは黙り込んで何も言わなかったけれど、それは肯定と同じで。
「楽しみにしていればいいよ!」
そう言って立ち上がると、とりあえずキルアについた傷を見回す。
…うん、大丈夫、大したことはなさそう。
「ラファ、そろそろ出て来んか」
「はーい!ごめんねキル、またね!」
ゼノに呼ばれて廊下へ出ると、キルアに手を振りドアを閉じた。
そうだ、ミル兄はどうしているだろう。
夕飯は何がいいかしら、と鼻歌を歌うキキョウに、首をかしげて尋ねた。
「母さん、ミル兄は?」
「ミルキなら自分の部屋よ。部屋は変わってないわ」
「そっか!ありがとう!行こ、ヒソカ」
ヒソカの手を引いてミルキの部屋に向かう。
ミルキの部屋のドアは、少しボロくなったものの昔とほとんど変わっていなかった。
それを喜びながら、そのドアを勢いよく開く。
「誰だよ、ノックしろっていつも…」
「ミル兄!」
「ラファ…!?」
昔より幾分かふくよかになったお腹に飛び込むと、戸惑いながらも受け止めてくれた。
「ミル兄、ただいま」
「おかえり、どうして…」
「…帰ってきちゃった。ダメ…だったかな」
「そんなわけないだろ、待ってたんだぞ?」
「ミル兄、新しいゲームある?」
「あぁ、いくらでもある!どんなのがいい?」
「あのね、どかーんってやつ!」
「じゃぁ、RPGにするか。この間新しいのが出たんだ」
大量に並べられたソフトのうちの一本を手に取り、其れを差すミルキをうきうきとみつめる。
「本当に仲が良いねぇ♦本当の兄弟みたいだ…♥」
「兄弟…俺とミル兄が?」
髪の色も、目の色も、全然違うのに。
「ねぇ、本当にどういう関係なわけ?良い加減にしてよ」
イライラした様子のイルミもドアから顔をのぞかせた。
「ほら、コントローラー」
ミルキにコントローラーを握らされ、パソコンの画面と相対する。
ゲームなんて久しぶりだ。
なおもイライラするイルミを、まぁまぁと宥めてヒソカが連れて行った。
「またね⭐」
オマケ?(次回への布石)
イルミside
おかしい…。
依頼をしたことがあるだけ、ではない。
絶対に。
ミルキとも仲が良かったし、何より家族のように俺の父さんや母さんを同じように呼んでいた。
おかしい。
…どうして俺が知らない?
今まで、跡取りではないにしても長男として父さんと家のことを決めたりしてきた。
自分の家がこんなに居心地が悪いのは初めてだ…。
「…キル」
拷問部屋に閉じ込められているキルアを訪問すると、鎖で上からぶら下げられたキルアが居眠りしていた。
「ん…何?」
「ラファって…何者なの?」
「…どういうこと?」
「父さんや母さんを、まるで自分の親みたいに呼んでるし…親しすぎる」
「それ、俺も思った。…でも、何も思い出せないんだよな…。昔あったような気がするんだけど…」
「…キルも?」
「えっ、兄貴も!?」
キルアは目を大きくした。
…どうして?
俺とキルアだけまるで家に疎外されているかのような…。
…何だこの違和感…。
拭い去れない不快感に眉を顰め、拷問部屋を出た。
ラファは一体、何…?
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