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第2話 振り離せない手(1/2)
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“それでも俺は、先輩を俺のものにしたかった‥‥。”
By湯馬
ーー
「え~第34回目の体育祭を我が本校で開催できるにあたりまして……」
それから約一週間後、俺たちは体育祭の日を迎えた。
…湯馬は、あの日から今日に至るまで俺のところへ訪れることはなく、俺は内心胸を撫で下ろしていた。
もし呼び出しなんてまたされたら脅迫されるのは目に見えているし、湯馬と接触したことを雛原に知れたらそれこそ命取りだった。
…あのときは雛原に思わず何もない、とか言って更に、断ったから…、なんて根も葉もないこと言ってしまったけれど…今となればそれは後悔でしかない。
…それが嘘だとばれたら、その時俺は雛原に何をされるか…ー
「あ、先輩。野上せーんぱい?」
ビク
開会式を終え周りに流されるように俺は退場口に向かって歩き、ふと聞き覚えのある声に振り返った。
するとそこにあるにこっとしてどーもと言って挨拶を交わしてくる呑気な湯馬の姿に、俺は目を開いた。
「…な、どうしてお前が…ここに、」
ーー途端自分の顔から自然と血の気が引くのが分かったと同時に、俺は瞬時にサッと辺りを見回し、周辺に雛原がいないのを確認してにこやかな湯馬にひそひそとして近づいた。
湯馬はそんな俺を見て一瞬きょとんとしてから、にこっと笑みを浮かべた。
「…どうしてって、駄目ですか?俺が先輩のところに来ちゃ」
…、…な
「当たり前だろうっ、一年のテントは向こうだ、さっさと散れ…!」
俺に近づいたとこで湯馬自身何の害もない彼を見て、若干イラつきながら害ありまくりの方の俺は切羽詰まったように声をあらげた。
湯馬は再びきょとんとして俺を見た。
「何でそんなに苛ついてるんですか、体育祭だってゆうのに、盛り上がりに欠けますね」
…っっ、何をこいつはぬけぬけと…。
「、…~余計なお世話だ後輩。先輩を脅してる奴がいるから盛り上がりたくても盛り上がれねーんだよ」
はっとして言うと、湯馬は隣で俺を見て微かに笑った。
「…クス。そうですか、俺のせいですか。…それは光栄だ…嬉しいですね?」
「ーな…っ、」
それに睨むような目で見ると、湯馬はニヤリと口元を上げた。
「ーーにしても、前は可愛かったですねぇ…先輩。抵抗できずに体びくびく震わせちゃって…涙まで流して感じて…今の顔からは想像つかないようなエロい顔して…入れたらどんな顔するのかもっと興味が湧きました…」
「、おまー!」
「ああそれと、今日の体操着姿、似合ってますよ。先輩の普段見えない太ももとか腕の筋肉とか見えて…とてもエロチックで」
「~!?」
サラッと笑顔でそう言い放つ湯馬を見て俺は言葉を思わず失ってしまった。
ガーンとショックを受ける俺を見て湯馬は少し笑って、後ろから高藤がやってくるのが分かると、湯馬は俺から離れた。
「じゃあ俺はこっちですんで、また会いましょう、先輩」
そう言って去っていく後輩を呆然と見て、それから俺ははっとするかのように慌てて口を開く。
「あ、…絶対、またこっちまで来たりすんなよーっ!、」
「……」
…けれど、
湯馬の返答は、返らなかった。
…はぁ、困った。どうしよう、またこんなふうに雛原がいる前で来られたら…
「野上、俺らのテントってどこ?」
と、少しして後ろからやってきた高藤がごく自然に俺の肩へ腕を回し尋ねてきた。
「…は。アホか、すぐそこ。目の前にあんだろ、三年二組」
「あ、あーっ!あった!本当だ本当だ!じゃ、さっさと座って応援しよーぜー」
呆れたようにして言うとテンション高く高藤はそう言って、ぐいぐいと俺の腕を引いて中に入っていった。
……
…
「あ~赤組負けた~っもうちょいだったのに~っっ」
「結構な点差だったけどな」
「ばっか…!あれくらいちょっとだよ!!ぜってー赤組のが勝ち目あるもんっ!」
「……へぇへぇ」
…体育祭が始まって早くも既に1時間半。
テントの一番前に座ってわーっやらぎゃー!!やらと叫ぶ高藤の隣で、俺はさして盛り上がることもなくいつも通り無言でグラウンドを見つめていた。
雨なんて降る様子もなくて、天気は快晴だった。
一着白組~二着赤組~などの放送に混ざって、あちらこちらの歓喜の声や悲劇の声が毎度毎度飽きることもなく四方八方を飛び交っている。
雛原は委員会だとかで、テントには全く姿を見せていないようだった。
「よっしっ野上!、俺らは絶対勝とうな!優勝狙うぞっ!」
次のプログラムの放送がかかり、やる気満々に高藤がスクッと立ち上がった。
「次、何だって言った?」
「ーー徒競走だっっ!」
……。
「お前はリレーだろ。俺は徒競走だけど…お前が何で立ってんだよ…」
「あぁこれか?ーあはは、まあ何となくだっ!全力で応援しようと思ってな!」
「……」
「頑張れよ~野上~っっ!!」
……熱い友達を持ったもんだ。
「続いて~三年生男子によります、プログラム6番100メートル走を始めます。」
放送がかかって、テンション高い音楽と共に俺は列に埋もれながらグラウンドへと出た。
位置につくと、すぐピストル音が鳴り響いて1走目がスタートした。
途端割れんばかりに響く応援の声。
……ぅあ、嫌だな。…何でそんなにプレッシャーをかけてくるのか…。
走る前から嫌な思いを胸に抱きながらも俺はすぐに順番が来て、位置についた。
そばにいた生徒が徐に手に持っていたピストルを空に向かって掲げ、耳を塞いだ。
…パン……ッ!!
そう音が鳴った瞬間に、俺を含む残り四人程の男子が一気に走り出す。
ぎゃーっと言う耳に入る叫び声に俺はイライラとしながら、足を早めた。
少しして目の前にあったゴールに足を踏み入れると、その一瞬の競争はすぐに幕を閉じた。
「流石ですね、先輩」
肩にかけたタオルを額に持っていくと、不意にそんな声がして顔を上げた。
「湯馬…何でここに…」
自分のテントへ戻ろうとすると何故かいる湯馬に俺は驚いて口を開いた。
湯馬は俺は見て、笑った。
「またそれですか?さっきも言ってましたよね、もっと他に言うことないんですか」
…はぁ?
「他にって…そう思ったから言ったまでのことだ。何でここにいるんだよ、お前は一年だから向こうのテントだろ」
無表情に言って横を過ぎようとすると、かっこよかったですよ、と湯馬が言った。
「は…?」
振り向くと、湯馬は俺を見つめていた。
「さっき…凄かったんですよ?先輩が走る台になった途端俺のクラスの女子、皆が急に黄色い声出しはじめて…野上先輩頑張ってーって……」
「……」
その言葉に表情を特に変えることもなく俺は湯馬を見ると、湯馬は視線を少し反らして表情に暗い影を差した。
「…やっぱり、モテるんですねぇ先輩って…。分かってたけど…先輩かっこいいし、見た目ストイックだし…。…俺、ちょっとショックです」
それに、俺は眉間に少々シワを寄せ、元気のないような湯馬を見る。
「はぁ?何で俺がモテるからショックなんだ?別に俺がモテようがどうしようが、お前には何のメリットもデメリットも何もないだろう?何をそんなにショックを受ける必要がある」
尋ねるように言うと、湯馬は少し自嘲気味に軽く顔をうつむかせ笑った。
「…そう、ですよね。そうですよね…先輩はやっぱりその程度にしか、俺のことなんて見てはくれない…分かってますよ、…そんなこと。」
……湯馬?
「湯馬…どうした。何を言おうとしてるんだ?」
一人で会話するように言う湯馬に?を浮かべシワを寄せたまま聞くと、湯馬はふと顔を上げ俺を見た。
「先輩……」
言いながら湯馬はゆっくりと俺の顔に触れようとして、慌てて俺は身を避けた。
「…湯馬、何だ、ここは外で、皆がいて…」
「…俺のものになって……」
ー。
「え……?」
その言葉に俺は目を見開いた。
ーそう言った、湯馬の目は、…どことなく焦点が合っていないように見えた。
湯馬は、強引に俺の腕を掴んでガランとした校舎内にある一室の教室へと入った。
ドサッと押されるように俺はその教室の床に湯馬によって体を押し付けられ、上に湯馬が乗って体を起こそうとする俺の上半身を抑える。
「ゆ、…ま!何ー」
「抵抗したら、ばらします」
ーっ
湯馬は動きを止める俺を見て、無表情に俺の両腕を頭上で片手で掴んで、俺の頭に結んでいた赤のハチマキを素早く取ると、その俺の腕をきつく締め上げた。
「…まぁ何もしないとは思うけど、念のためです」
両腕を頭上で拘束された俺を見て、馬乗りになったまま湯馬は見下げるように言った。
そうして、湯馬はそのまますぐ何の躊躇もなく、俺の着ていた体操着を俺の顎辺りまで上に捲り上げた。
突然の外の気温にびくりとして、俺は思わず裸にされた胸の突起部分を立たせ反応してしまった。
「…うん、前も思ったけど、綺麗な肌だ…本当に」
すると、湯馬は関心したようにそう言って、次の瞬間俺の上半身の裸体を上から下にかけて舌で熱心に舐め始めた。
堪らず出るびくびくとした声ー。
「ぁあ…っん…、…んぁっ、…は、…湯馬、駄目…、…こんな…んぅ、ーあぁ…っ」
貪るように、俺の体に顔を埋め舌を這い回す湯馬を拘束された状態で見て、俺はその顔から火が出るような羞恥に瞳を潤ませ、耳を赤くさせた。
「…ちょっと体舐めただけなのに何その顔…堪らないって顔してますよ?」
すかさず顔を上げこちらを見てくる湯馬の言葉に、目に、俺は顔を横に向けて目を固くつぶり唇を噛む。
すると湯馬が俺の無防備になって向けられた赤い耳に顔を近づけ、熱い舌をそこにねっとりと這い回らせた。
「はぁ…!あぁ、ん…っんん、あぁ…っんあっ」
敏感な耳に這い回されるそれにびくびくとして声を上げ、拭えない唾液を口から床に垂らすと、湯馬は微かに笑った。
「…先輩感じやすいんですねぇ。…この程度でそんなに感じて…ここ触ったらどうなるんですか?」
不意にそう言って湯馬が俺の赤く尖った胸のそれに手を伸ばしー、俺はそれにたまらずあぁ…っ!!と高い声を出し体を微かに震わせゆらした。
湯馬の乳首を掴む手がゆっくりと刺激を与えてきて、俺はそれに合わせるかのように体を一々びくつかせ、情けない声を漏らし続けた。
「ぁあ…ああっ、…んん、も…やだ……、やめて、やめ、てくれ…」
「ーー何言ってるんですか?…乳首触ってるだけなのにココ硬くしてる人がよく言う…」
言われ、瞬間片手でズボン越しにきゅっと俺のモノを湯馬の手のひらに包まれ、俺は目を見開いて体をのけ反らせる。
「…エロ」
そうしてそう呟かれた言葉に、俺は体をびくりとさせ震わせた。
「…本当あなたって、普段と今のギャップが激しいから、…堪らなくなるんですよ」
そう言って、湯馬の顔が胸に埋まり赤いそれを口に含み舌を使って舐めていく。
もう片方の赤いそれは、手で摘まんで押し潰してはを繰り返し強い刺激を与えてくる。
俺の下のソレは熱を持ち、びゅくびゅくとした液を垂れ流し始める。
「は、ん…!、湯馬、…あぁ!!ら、め…だめ…これ、いじょう、…はぁあっ!!」
瞳を濡らし震える体を抑えながら湯馬に懇願すると、湯馬はごくりと息を呑むようにして俺を見つめる。
「…それ、たまんない」
そして湯馬は俺を見て一言そう言うと、体を俺の上から退いて俺の左右に開いた足の間に入って膝だちに座った。
その自分の羞恥的な格好に、途端言い様のない刺激が体を走る。
「ゆ、うま…なに、して…」
顔を少しだけそちらへ浮かせ見ると、湯馬はにこりと笑って俺のはいていたズボンを両手でしっかり掴むと下へと下げた。
下着ごと下ろされるそれに、俺は目を見開き湯馬を見た。
「、なにして…!!」
が、声を出そうとしてすぐソコをぐっと湯馬の手が直に掴んで、俺は浮かしていた顔を途端床に落とし天井を見上げた。
ぬるぬると上下に手がそれを擦る感触が、何も考えることをさせなくなってしまう。
「…気持ちいいんですか?…先輩?」
その言葉に、俺は答えられずに、されるがままのそれにただ声を出し続けた。
すると不意に、擦り上げられるその手をそのままに、もうひとつの湯馬の手が後ろのひくひくとした俺の蕾に触れ、俺はびくんと体を震わせた。
「ゆ…ま、…何を、」
再び顔を浮かせ湯馬の方を見、そう声を出すと、湯馬はゆるりと笑ってまずは慣らしとかないとね、そう言って…
自分の指を一本俺の中へと侵入させた。
「あぁああ…っ!」
入るそれに、びゅくびゅくと硬くなっているそれと伴って俺は感じすぎるほどの刺激に涙を流し声を上げた。
擦り上げられるそれと、突かれる指に、俺はひたすら声を上げて、天井を見つめた。
「…先輩、やっぱりあの男と付き合ってるんだ…。…指入れたらきついかと思ったのに、もう二本もくわえこんでる……あの男にそんなに毎日突かれてるの?…」
「…、違っ…そんな、…あぁっちが、う……」
「…何が?…ほら、もう指三本入った…慣らさなくても、イケるってことですか…?」
湯馬のその言葉と共に、突かれる指に力が入るのが分かる。
「んんぁはっ、はっはっ、…あっあ!」
「…余裕ってわけですか…指なんか、慣らしなんか、必要ないって……?」
「、そ、んなこと、……言って、なっ、」
湯馬は、
「……だったらもう、いいですよね……入れても」
……何故だかひどく、キレていた。
湯馬は乱暴に俺から指を抜くと、大きくなった自身をズボンを下げ、出して、俺のそこに当てた。
「、…ゆ、ゆうま、待ー」
「待ちません、…あなたは俺には逆らえないーー」
…そう言って、湯馬は自身を俺の中へと入れたー。
中に入ってきた大きく、硬く、熱い、…それに、
俺は、もう、何も、考えられなくなった。
激しい怒りのような突きに、ただひくひくと後ろを震わせ、次々に止めどない涙を流した。
グチュグチュと中で湯馬と、俺の液が結合する音に、俺は目を閉じ聞こえない振りをした。
きつく縛られていた両腕が、湯馬に突かれ俺の体が揺れるのと同時に酷く締め付けられた。
…今突いているのは湯馬なのに、今中に入ってきているのは湯馬なのに、それなのに俺は、
ー「俺以外に興味示したら…許さない」
……なん、で……
「先輩……先輩……」
湯馬の声が、耳を通る。
「……好きです、好きです。…あなたのことが、好き…好き、」
…体を激しく揺らされ、何度もこだまする言葉ー
「…俺を好きになって…俺を見て……俺だけを、見て下さい……」
湯馬の中にあるソレが、大きく身震いをして俺の中に吐き出された。
途端ぎゅうっと包まれる体。
「先輩……俺だけを、受け入れて……お願い……お願い……」
力のこもった彼の腕に、俺は自分の液を吐き出したドクドクというそれを感じながら、無表情に天井を見つめた。
ーーーーーーーーー
ーーーー
「あ、いた~っ!!」
校舎から出ると、高藤に遭遇した。
「どこ行ってたんだよ野上っ、競技出たっきり戻ってこないから心配したんだぞ!」
「あ…悪い」
素直にそれに謝ると、後ろから俺たちの横を湯馬が通りすぎていくのがわかった。
……。
それを無言で見送っていると、不意に高藤が湯馬を見てあ、と言った。
「どうした?」
「アイツ、今通った奴、湯馬 春斗だっ」
「え?」
その言葉に、俺は少し目を開いて高藤を見た。
「何で名前を…」
「や~、あいつだって有名だもん!成績優秀、運動神経抜群、スタイル良し、顔良し、更に家はなんとお金持ち!」
え…?
その初めて聞くそれに俺は目をしばたたかせた。
お金持ちって…そんなにすごい奴だったのか、…湯馬って。
しかも頭も良いのか、アイツ…。
「知らなかった…」
言うと、あははと笑って高藤が俺を見た。
「まぁ野上はそうだろうよ、他人に無関心なお前がこれ知ってたらそれこそびっくりだわ」
その言葉に、少しの間を開けて、あぁ…そうか、とだけ俺は呟いた。
「ーそれよか、どこ行ってたんだ?マジで。つかお前ハチマキは?」
「え?」
その言葉に、俺は頭に手を当て、それからはっとしたように目を開く。
…そうだ、俺湯馬にハチマキで腕縛られてたんだ。
いつの間にか緩くなってたからそのまま逃げるようにしてあの場を出て行ったけど、…もしかしてハチマキあの場所に置き忘れたか?
「なしたの?」
「あーいや、別に。ちょっと忘れてきたかも、ハチマキ」
「はあ?ハチマキ忘れるって、何でわざわざ取ったりする必要があったんだよ」
それにえ、とつまる自分。
すると不意に高藤が俺の腕を掴んで上に上げる。
「ちょ、おい何だよ高藤、」
驚く俺を尻目に高藤はじっと俺の手首を見て、首を傾げた。
「……何か手首、赤くない?」
「…!!」
その言葉に心臓が嫌というほど大きく鳴って、俺は慌てて高藤から腕を離させた。
「、気のせいだろ。」
そう言うと、ふーんと言って高藤は早く戻ろうぜと歩きながら言った。
…焦った。
ハチマキからの手首の赤さの気づきだったから…尚更。
高藤は、一緒によくいるようになったときから、鈍いようで鋭いときがある。
それは知っていたはずのことだったのだけれど…
無駄に広い肩幅を見つめ、不意に振り向いてこちらを見て笑った高藤を見て、俺は足を進めた。
「あ~赤組負けてる~」
テントへ戻ると、高藤は大きく掲げられた点数板を見て肩を落とした。
「俺もリレー頑張ったんだけど…駄目だったか」
「…あぁそうか、…まあ仕方ねぇだろ」
「んー…あっ!お前かっこよかったぜ!!さっき、ぶっちぎりで一着だったろ」
すると思い出したように高藤はそう言って笑い、俺の背中をちょっと強めに叩いた。
「、た…何すんだよ」
「すごかったって、誉めてんだろ~。やる気無さげだったからてっきり遅いと思ってたからビックリした」
……。
…なんというか…。
「…お前って、本当あれだな…」
言うと、ん?と言って高藤はにこやかに俺を見た。
「何?」
「…いや、…お前って、無意識に人惹き付ける感じなんだろうなって、…ちょっと思って」
「…は?」
言うと、高藤はそれに難しそうな顔をして俺を見て首を傾げた。
…よく、伝わらなかったらしい。
まぁいいけれど。
「あ、高藤っさっきリレーかっこよかったよ~。やるじゃんっ」
「え、あ~そう?惚れちゃった?」
「バカ、それはないっつーのっ」
……。
…高藤って、なんと言うか、男女関係なく誰とでも仲が良いというか、今に始まったことじゃないけれど、対人関係のコツが分かっているというか…いつもよく笑っているよな、気づいたら。
でもたまに、いっつも笑顔でテンション高かったら、少し疑うときがある。
…果たしてこれが彼の素、…なのかと。
「野上」
ドクン
「あ、雛原じゃん。お仕事お疲れ様です」
「あはは、うん、ありがとう。高藤もリレーお疲れ様」
…俺はその声にゆっくりと後ろを振り向く。
今日久々に見る雛原の姿に、何故か心臓が落ち着きをなくす。
「…野上も、一番だったよね。かっこよかったよ、とっても」
ドキン、
「だろ~?やっぱ雛原もそう思った?俺も思ったよーっ」
「もちろん、高藤もかっこよかったよ」
「えーマジで?照れるなぁ~雛原に言われると~~」
あははっと言って頭を掻く高藤と笑顔を浮かべる雛原を尻目に、俺は上昇する熱を落ち着かせるようにごまかすかのように手をぎゅっと強く握った。
耳に、閉会式を行いますという放送が聞こえた。
「野上、式だって」
「あ、あぁ」
高藤の声に頷き、俺は雛原の前を通過した。
通過する直前、雛原の視線を感じて、俺は雛原側にあった左耳に熱が集中するのを感じた。
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