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今ならわかる 3
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「まさと・・・?」
龍一は信じられない、といった表情で俺を見下ろす。
俺自身無意識だった。
無意識の行動だったが、龍一のキスを拒んだ瞬間気付いた。
龍一にキスされたくない・・・
いや、違う。
淳がキスしてくれた唇を誰にも奪われたくない・・・せめて今日だけでも大切にしたい、そう思った。
それに俺は龍一に愛撫されながらも、頭の中ではずっと淳の事を考えながら感じていた。
もしあのまま服を脱がされていたら・・・淳は直に俺の身体に触ってくれた?その指で肌を滑らせ、胸の突起に触れて・・・、淳の舌で愛撫される
そんな妄想をしながら吐息を漏らしていた
どっちにせよ俺は最低だ。
だけど俺の頭の中は淳でいっぱい。
重症だ
「ゴメン、龍一」
「まさと?」
「俺やっぱり体調悪いみたい・・・今日はもう帰ってくれないか?本当にゴメン」
嘘。
本当は抱かれたくないだけ。
淳にキスされて、押し倒されたこのベッドは俺の大切な場所となったから。
俺がそう言うと龍一はとても悲しそうな顔をしたが無言で頷くと俺の身体から退いてくれた。
そして「愛してるよ雅人」と呟くと額にチュッとキスをして出て行ってくれた。
俺は龍一の出て行ったドアをただ無言で見ていた。
「愛してる」・・・か。
龍一に何千回、何万回も言われたセリフだけど、今の俺にとってその言葉を聞くのはとても重く辛い。
今ならわかる
人を愛する苦しさ
愛する人に触れたい衝動
胸の痛み
「ごめん龍一・・・」
龍一はずっとこんな気持ちだったのか・・・
同性に恋をして、打ち明けられず秘めていた想い
苦しくて
切なくて
愛しくて
狂おしい…
龍一は長年耐えていた想いが溢れてしまったんだ。
今なら龍一の気持ちが理解できる気がする
だって俺も・・・同じだから
「ごめん龍一」
龍一の愛が今やっと俺の胸に響いたよ。
共感出来た・・・そう、これは共感。
だから龍一からの「愛してる」を聞くのは辛い
やっと龍一の苦しさを理解出来たけど、俺にとってその相手は
淳なんだ。
俺は自分の左胸に掌でそっと触れた
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