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覚醒
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放課後になると、いつもの様に龍一が俺のクラスに来て、廊下の壁にもたれて俺を待つ。
俺のクラス担任は何かと話が長い、帰りのHRでも無駄に時間を奪われる。
だから俺が帰れる時間にはいつも龍一が廊下で待機している。
やがてHRも終わり、普段通り俺も龍一と一緒に下校するため鞄に教科書を入れたりと帰宅準備を始める
本当は帰る前に淳の元へ行って帰りの挨拶を口実に一言でいいから何か喋りたかったけど、クラスでも人気者の淳のまわりには既に人が集まっていた。
その中でスカートの短い茶髪の女子が淳の制服の裾を可愛らしく引っ張りながら
「ねぇ~淳、これから皆でカラオケ行かない?久々だし一緒に遊ぼうよぉ」
と、上目遣いで誘っていた。
やっぱり淳ってモテるんだなぁ・・・
俺は鞄のファスナーを閉めながらも意識は淳の方へ行き、チラチラと観察してしまう。
淳の隣にいた男子も淳と、その女子の間に入って
「いいねぇ~、俺も行く!」
と、参加してきて淳のまわりはさらに賑やかになっていた。
俺はそれを横目で見ながら扉へ向かう
・・・でも、やっぱり帰る前に淳に挨拶したい
教室の扉の前で後ろを振り返り淳の方を見ると、偶然にも淳と目が合った
淳は笑顔で手を大きく振りながら
「雅ぁ~、また明日なぁ!」
俺に声を掛けてくれた。
「うん!また明日!」
とても嬉しかった
俺も笑顔で元気良く淳に手を振って教室を出た。
「ごめん龍一、おまたせ」
龍一は不機嫌そうだった
俺が龍一の前まで行くと、龍一は無言で俺の腕をつかむと足早に歩き出した。
「龍一ッ!!?」
俺を見る事無くただ腕を掴んでひたすら歩く龍一
「痛いよ龍一・・・離してよ」
いったい何なんだよ
龍一はグイグイと俺の手を引いて歩く
「痛いよ、離して!ねぇ、龍一ってばッ!!」
校門を抜け人気の少ない道に差し掛かった時、俺は龍一の腕を振り切った
「まさと・・・」
驚いた顔で俺を見る龍一
俺は龍一に強く握られていた腕を擦りながら龍一を睨んだ。
「雅人、ゴメン・・・痛かった?赤くなってるね・・・ごめん雅人」
龍一が俺のその腕を触ろうとしたから、俺は拒むように腕をわざとらしく降ろした。
「まさと?」
俺は無言で駅に向かって歩き出した。
その後ろを龍一は黙って付いてくる
何だか今日の龍一は少し変だ
だが俺も今日の龍一の言動や行動に戸惑いつつも少し怒っていた。
淳に変な事を言って、俺と仲の良い存在を消すつもりなのだろう
今の行動だって、馬鹿みたいに嫉妬しただけだろ?
俺と仲良くする奴は許せないって言うんだろう?
いいかげんにしてほしい。
俺は無言で電車にのり自分のホームに着いたから隣に座る龍一に挨拶もせずに電車をおりた。
腕に少し怪我を負わせたことを負い目に感じているのか、俺が怒っている事に気付いたからなのか龍一はずっと俯いたままだった。
でも・・・
これだけで落ち込みすぎではないだろうか?
俺はホームから、動き出す電車の中の龍一を見た
俯いたままの龍一も最後にゆっくりと顔を上げたから俺と目が合った。
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