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ソーダキャンディー*
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てか、そろそろ帰らないと母さんに遅いって怒られる……。
俺の母さんは怒るととてつもなく怖いのだ。
航太のほうを見ると、まだ冷凍庫の前でアイスを見ていた。
「航太、そろそろ行こうぜ。」
「おう。ちょっと待って。」
そう言って航太は冷凍庫から何かを取りだし、駄菓子屋のおばちゃんに小銭を払っている。
「何買ったの?」
「んー?これ。」
航太は俺のほっぺに買ったものをペタッと押し付けた。
その瞬間、ほっぺがヒンヤリとする。
「つめたっ!………え、これって…。」
ほっぺに押し付けられたものを受け取り見てみると、それはさっきのソーダキャンディーだった。
「食べながら帰ろうぜ。」
航太はそう言ってニカッと笑う。
その手にはもう1つ、ソーダキャンディーが握られていた。
「うまっ。生き返るわ~」
航太がソーダキャンディーにかぶりつく。
俺もパッケージの袋をあけて、ソーダキャンディーを取り出すと一口食べた。
………美味しい。
俺も無我夢中でかぶりつく。
そんな俺の様子を見ていたらしい航太が、突然吹き出した。
「……ふはっ、ほんとお前って美味しそうに食うよな~。」
「うっせ。」
航太をギロッと睨む。
どうやらもう食べ終わったらしい。
そういえば、昔からそうだったなぁ……なんて思う。
何をするにも航太のほうが先に出来て、俺はそれが悔しかった。
まるで航太に、置いていかれるような気持ちになるから。
今思うと中2のときなんかよりずっと前から俺は航太のことが好きだったのではないかと思う。
バカだなぁ、昔の俺。
航太が俺のことを置いていくわけないのに。
現にこうやって、航太は俺の隣にいるのだから。
「………おいおい、アイスが溶けてきてるぞ。」
そんなことを考えていると、俺はボーッとしていたみたいで航太の声に、やっと我に返る。
「……えっ!?うわ、やば。」
せっかく買ってもらったアイスキャンディーがドロドロと溶け、俺の指にまで垂れてきていた。
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