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憂悶4
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「…ん…っ…」
ブゥーンという小さなモーター音が自分の中から聞こえ出した。
特別スイッチを入れたことによる痛みや苦しさはない。
内側から響く振動に不思議な感覚が追いかけて来て、小さく弾けて消えていく。
敏感な場所を震わされていることには変わらないのだが、
怖れていた暴力的な快感ではなく擽ったいような刺激に少しほっとして碧はつい緊張を解いた。
締め付けてた内側を擽る器具を弛めて油断していると、自分の呼吸が小刻みに震えている事に気づく。
「……っ…あ…」
ピクンと性器が揺れる。
何故か勃立したまま震えるそれに気を取られると、ガクリと腰が落ちるような感覚が訪れた。
「!」
急激に腹の辺りが戦慄き、腰が熱くなっていく。
「…え?………あ…」
自分の身体に何が起こっているのかわからないまま、腰と足がカクカクと震え出した。
「…あっ…あぁ…ああっ…!……っ!」
もう遅い…と直感する。
気づかない内にもう戻れないほどそれは近づいていた。
膝が笑い、腰が踊り、手足が跳ねる。
「あ!…いや!あ!…あっ!あぁっ!…あ!」
ガクガクと踊り出す身体と痙攣する腹筋と小刻みに震え繰り返される呼吸。
緊張した筋肉が背を反らせ、喉をヒクヒクと鳴らせている。
勝手に溢れ出す涙で視界が歪む。
限界が近い。
『そうだ…イク時は僕の名前を呼んで欲しいな』
電話越しの桐生の声が艶かしく笑っていた。
碧は自分を追いつめる様に反り勃つ雄に触れる。
追いやられるような絶頂ではなく、せめて自分でコントロールしたかった。
「ぁあんっ!」
しかし触れて後悔する。
今にも弾けそうなそこは触っただけで簡単に理性を飛ばしてしまう寸前にまで碧を追いつめた。
「…っ……せ……ん…せい…」
残されたわずかな理性で名前を呼んでしまうと更に興奮に震えた。
桐生の瞳、桐生の唇、桐生の指、桐生の声、桐生の吐息が碧の中で鮮明に甦る。
琥珀色の瞳に見つめられ、形のいい唇に口を塞がれ、長く節だった指に身体を撫でられ、低い声で甘く囁かれる。
『碧…』
頭の中で何かが弾け飛んだ。
碧の身体がビクンと跳ねる。
「ああ…っ…せ…んせいっ……先…生…っ!」
桐生の名前を呼びながら、上下に扱き始めると鬱積していた欲望が一気に身体を駆け上がった。
絶え間なくゾクゾクと身体を這い回る蟻走感、熱くて溶けてしまいそうな腰、酸素不足で朦朧とする意識、激しく痙攣する身体、耐え難い焦燥感、譫言のように繰り返す愛しい人の名前。
「…っ…あ!せ…ああっ!せんせ!い…あああっ!!も…っ!せん…せいっ!!」
何かに引っ張られるように、碧の身体が大きく弓なりに撓る。
「あ!…っあああアあああああっっっ!!!!」
熱い白濁が宙を舞う。
全身を突っ張らせ精を散らせる碧の瞳には激情の涙が伝った。
しばらくぶりに吐き出したそれは快感と比例するように重く濃い。
碧は飲み込みきれない快感を持て余しながら身体を震わせた。
指先まで痺れるような強い悦びに酔っている。
自室のフローリングに撒き散らした白い液体を遠くに見ながら、胸に浅く酸素を吸い込む。
やっと解放されたのだ…とそう思った。
しかし訪れるはずの静寂がいつまで経っても訪れないことに碧は異変を感じる。
「…っ!?」
再び身体がガクガクと震え始める。
「は!…っ…あ!…ぃ…や……っ…あ…ぁん!…っ」
射精による強い快感がまだ身体を抜けきれずに渦巻いているのに、後孔の中で震え続けている玩具が碧を絶頂に残したまま犯し続けているのだ。
「あ!あ…んっ…いやっ!」
ビクッビクッと痙攣しながらまだ硬い性器から残った体液がだらしなく吐き出される。
「も…っ!あっ…あ!んっ!!」
碧は短い息を無秩序に吐き出しながら、リモコンを探して掴む。
繰り返される絶頂が辛い。
急いでoffのボタンを押すが、既に昇りつめた身体に歯止めは効かなかった。
「あ…ああっ!んっぁあああっ!!」
リモコンを握り締めたまま碧は全身を震わせてまた吐精してしまった。
ビュクっと飛び出した熱い迸りがさっきまでの熱の上に放たれる。
「…あ…ぁ…は…っ…ぁ…は……」
碧はぶるぶるっと総毛立てると、続けざまの射精にぐったりとその場に沈む。
そんな碧の姿をスマートフォンの小さなレンズはじっと見つめていた。
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