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2009年2月16日 軽い異変
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長くスラットした足を組み、サラサラの長い髪をかきあげながら目の前に座る女医が僕に微笑んだ。
『じゃぁ、ちょっと検査してみましょうか。…あぁ、大丈夫よ、すぐ終わるから』
なんて言われて早6時間
…是非言わせて下さい
6時間って、すぐなんですか!?
僕はお笑い芸人顔負けのツッコミを先程の綺麗な女医に何度かしながら (勿論、脳内ツッコミで!)、何度目になるか分からないため息をついた。
母さんに言われた通り学校を休んだ僕は、近くで一番大きい病院である東雲大学病院に来た。
本当は家の近くにある病院が良かったのだけれど、母さんが許してくれなかったのでイヤイヤながら来たのだった。
そして綺麗な女医の問診を受けた後、ドラマでしか見た事が無い検査をいくつか行った。
首のエコーと細胞診(さいぼうしん)という検査、あとMRIを撮って、現在は検査結果待ち。
すぐと言われたので、2、3時間位で済むと思ってたのに…
「6時間って……ないよねぇ」
ため息をついちゃうのも仕方が無いと思います。
「……暇だなぁ…」
窓から入る暖かな日差しが俺に当たり、そっと眠気を誘う。
誘われるまま小さく欠伸をすれば、…本当に眠くなってきた。
「ホンと、どうしようかな」
出かけに母さんが何か持って行った方が良いと言ったので、とりあえず本を持ってきたのだが、その本は読み終えてしまったし、スマホをいじろうにも此処は病院だから出来ないし(寒いから外に出てまでやりたくもないしね)
あー。やっぱり近くの病院に行って、それで早く終わらせて、午後からでも学校行けば良かったー
そしたら結衣ちゃんともデート出来たのに……
あっ、ちなみに結衣ちゃんには病院来る途中にごめんねメールを送りました!!
返信は…まだ来てないけどね (泣)
あぁ、ほんと泣きそう…
◇
「…朝霧さん?こんな所で眠ったら風邪引いちゃいますよ?」
窓の外をぼーと見ながら日光浴していると (おじいちゃんみたいに)、女性にしては若干低い声が聞こえ、それと同時にすらっとして綺麗な足が視界に入る
誰かと思い顔を上げると、そこには眼鏡に泣き黒子がセクシーな綾川麗子先生が僕ににっこりと微笑んでいた。(ちなみに問診をしてくれたのも、この綾川先生だ)
偶然にも母さんと同じ名前の綾川先生は、けれど母さんと違ってよく微笑む女性だ。
メガネに手を当てれば高慢ちきなザマス系の奥様に見える綾川先生だが、にこっと微笑めば慈愛に満ちた女神様の様に見える…傍にいると癒されそう…いや、癒してくれる女性です。ちなみに僕の、
メチャメチャタイプな女性ですっ!!
そんな綾川先生。現在27歳。独身
これはまさに運命のであい…
「朝霧さん?」
はっ、変な事を考えてたっ!!
「だ、大丈夫ですよ、綾川先生、だってここ外と違ってあったかいし」
若干慌てながら答える僕を気にせず、綾川先生はふふっと口元を隠しながら微笑んだ。
よしっ、バレてないみたい(ほっ…)
「暖かいとはいえ2月だから、体に良くないわ」
「…でも先生…検査待ちで暇なんですよぉ…眠くなっちゃうのもしょうがないじゃないですかぁ」
まだ結果出ないんですかと尋ねれば、綾川先生はちょっと考える素振りを見せ困った風に笑った。
「あぁ、そうねぇ……もうちょっとかかるかも…知れないわね…」
「えぇ…??、まだかかるんですか?」
「でも大丈夫よ。最悪でもあと3時間位で検査結果が出る筈だから」
綾川先生は何故か俺にガッツポーズをして見せた (何故ガッツポーズ??)
「あと3時間…ですかぁ?」
何故か綾川先生は自慢げに言う、だがそれでもあと3時間。結構かかるなぁ
はぁ、とため息をつく僕に、綾川先生は苦笑する
「じゃぁ、ちょっと隣に座ってもいいかしら?」
「えっ?」
「さすがに3時間は無理だけど、ちょっとだけ話し相手にならせて頂くわ」
長く待たせているお詫びにねと言いながら、少しばかり驚く僕の隣に綾川先生は座った。
?
「あ、旭君は…高校二年生なの…!?」
そうですと答えると、綾川先生は驚いた表情
(かお)を、見る者が困る程の済まなそうな表情(かお)に変えて、言葉を詰まらせた。
どうやら綾川先生の目から見て僕は…高校二年には見えなかったらしい。
綾川先生の表情を見て思うに、もしかしたら中学生に見えていたのかも知れな…いや、それはさすがに無いだろう。無いと願いたい。いや、絶対無い。
「……はは…」
心なしか遠い目で笑ってしまう僕は…仕方がないと思います。
でも……ヒドイですよ、綾川先生…
確かに身長も同年齢の友人に比べれば小さい方だし、声だって少し高めだけど、かろうじて高校2年生に見えるはずなのにっ……
…ねぇ、綾川先生、僕は今、内心ハンカチを噛み締めていますよっ(泣)
「ごほんっ、そ、そういえば旭君のお母様は今日来ていないのですか?」
あ、話そらした。
「…はい、病院へ来るのを決めたのが今朝だったんで、仕事休めなかったんですよ」
本当は仕事を休んででも来たかったみたいだけど、母さんの仕事は絶対って言うほど休むのは無理だしね。
だから今日は一人。
でも病院が終わり次第、必ず連絡をする様に言われました。忘れない様にしないと
「まぁでも、どうせたいした事無いと思うんで、来なくて良かったと思ってるんですけどね」
「…そう、ね」
「……―綾川先生?」
その時、綾川先生の表情に影が出来た。
それは先程の微笑む顔や驚き顔、あの慌てぶりは、一体どこにいってしまったのかと聞きたくなる位の変わりぶりで、僕は綾川先生にどうしたのかと、問いかけ様とした瞬間(とき)
『ブ????????????????』
携帯の着信音が僕と綾川先生の間に鳴り響いた
僕の着信音ではないので、どうやら綾川先生の携帯が鳴ったみたいだ。
「旭君、ちょっとごめんね」
電話にでる綾川先生に気を遣い、声には出さず僕は気にしないと手を振った。
綾川先生も声に出さずごめんねと再度言いながら頭を下げると、携帯を耳に当てながらそっと席を外した。
?
「ごめんなさい、旭君、ちょっと呼び出されちゃったから…」
「いえいえ、こちらこそ忙しい所ありがとうございました。おかげで後3時間頑張れそうです」
本当にそう思うので、僕は済まなそうな表情
(かお)の綾川先生に、にこっと笑った。
そんな僕に綾川先生は苦笑する。
でも、いきなり呼ばれちゃうなんて、お医者様も大変だなぁ。
うん、大変。
「検査結果がでたら誰かが呼びに来ると思うから、暇だと思うけどもう少し待っていてね」
「はい、分かりました」
僕がありがとうございますと伝えると、綾川先生は僕にまたねといい、そっと微笑みながら建物に向かっていった
病院へ戻る綾川先生の背中を見送りながら、僕はふと思った
『??…変なこぶもある、それに……』
『……??そう、ね』
母さんの言葉と綾川先生の言葉に含まれる感情(どこか確信を持っているけど、それが否定される事を望んでいる様なそんなかんじ…?)
そんな二人に、僕は…不安を感じた
「???…なんてねっ」
僕は何を考えているんだろう。
小さく笑うと、変に揺らぐ気持ちを落ち着ける為にゆっくりと深呼吸をしてみた
???
この時、俺はまだ気づいていなかった
いや、何となく気が付いてはいたのだけど、その時の僕はわざと無視をした
俺の中の命の時計が既に、壊れかけていた事を…????
???
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