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無表情
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なんか、情けなくて痛くて泣きそうだ。
殴られて喜ぶ体の持ち主だが、「別れたいっすか?」の質問に小さく頷く。
顔を上げると助けてくれた青年と初めて目が合った。
引いているわけでも、キモがっているわけでもなく。ただただ無表情な顔だった。
真っ黒でなんの感情も浮かんでいない目と視線を合わせ続けられず下を向く。
直ぐにガシャンと柵に何かが強くぶつかった音がした。
「別れろじゃなかったら落とす」
脅すわけでも、怒っているわけでもない淡々した声が耳に入る。
そして、その手には別れたいと思っているクズ野郎。
「は?」
ほんの短い間に彼氏が二階から突き落とされそうな状況になっていた。
襟首とベルトをつかまれているからギリギリ落ちていないが、いつ落ちてもおかしくない。
手すりから外に、太ももから先の体のほとんどが飛び出している。
不安定さに手が必死に掴むものを探してバタついている。
実行している本人はやっぱり怖いくらいの無表情だった。
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