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Episode.5…3
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春季視点
「ん、しょっ」
大人しく凛が背中に乗ったのを確認すれば
立ち上がって保健室にむかう
「…悪い」
目的地にむかって歩いていれば、ポツリと後ろで
申し訳無さそうな声が微かに聞こえた
…無器用なヤツ
思わず笑みがこぼれる
「気にしないでよ
俺が好きでやったことなんだから」
「………」
なにも言わなかったが、
頭を肩にのせすりよってくる
あぁ、可愛いなぁ…
そうこうしていれば保健室にたどり着いた
「失礼します
九条先生いらっしゃいますか?」
………
「いねぇみたいだな」
いないと分かれば敬語なんて邪魔なものを捨て
ズカズカと中にはいり凛をそっと降ろす
「ほら、そこ座って
先生いないみたいだから俺がやるな?」
椅子を指差し座るようにいい、
勝手にがさごそと漁る
湿布、湿布…
目当てのものを探しだし戻ると
大人しくちょこんと椅子に凛が座っていた
…やけに素直じゃねぇかよ
「ほら、上着脱いで
全身打ち身だろ?」
「………ん」
頷きこれまた何の抵抗もなくシャツを脱いだ
…コイツ筋肉ありすぎかっ
ガタイよすぎ…
思わず触りそうになってあわてて手をひいた
な、なにしようとしてんだ俺はっ
治療!治療するんだっつの!
息を深く吐き
気をとりなおして湿布や消毒などをし
包帯を慣れた手つきで巻く
頬を赤らめる俺に首をかしげながらも
手際のよさに感心したようにみている
やりづれぇんだけど
ふと、凛が口を開く。
「…お前、器用、なんだな」
「昔からやってるからね
慣れてる」
苦笑しながら答え、
まきおえれば服をきるようにうながした
服を着ながら続けて質問する
「昔、よく怪我してたのか?」
「それは、もう」
昔を思い出しては懐かしくてクスクス笑い、
脚の手当てをしながら答えた
だけど、そんなことよりも
俺に興味を持ってくれたことが、
何より嬉しかった
「意外だな」
「そうか?割と傷跡残ってるよ」
俺の返答に驚いた顔をするから、
少し調子にのって
“見るか?“なんて冗談半分にきけば
大真面目な顔で“見る“などと言われた
…え
まじかよ
予想外の反応にたじろぎながら、
道具を片しては
シャツを脱いで上半身を露にする
「もー、凛君のエッチー」
「うっせぇ、ばーか」
おどけながら痛々しい傷がのこる身体をみせる
傷痕を食い入るようにみつめられれば
やはり男同士といえど恥ずかしく、
それを誤魔化すかのように
“こんな身体じゃお嫁にいけないわっ“
だなんて口にする
そんな渾身の一言を無視し、新たな疑問を俺にぶつける
まぁ、いいけどもっ
「お前って、昔荒れてた?」
「いや?
あー、でも、売られたら買ってた。」
「ふぅん…」
「んぁ…ッ!?」
無意識に、凛の手が延びて
俺の胸元に残る傷跡をなぞれば
ぞくっとして変な声が漏れた
その声にハッとしてあわてて手を離す
「わ、りぃ…」
「いや、俺こそ、ごめん」
気まずい空気が流れる中、どうしたらいいのか分からず
とりあえず服をきた
触られたの、嫌じゃなかった…な
この間まで憎くて仕方なかったヤツなのに、
一緒にいるのが心地いいなんて
俺はおかしくなってしまったのかもしれない……
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