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Episode.5…5
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春季視点
さっきからなんなんだよ、コイツ
人の顔みてはニヤニヤしやがって…
だいたいっ………ん?
そういえば…………
「なぁ、絡まれたら俺のとこにこいっつったよな?」
今だ笑っている凛に言えば表情がかたまり
俺から目をそらす
言い訳が思い付かないのか“ぁー、ぃゃー、その…“などとくちごもる
「なんで来なかったんだよ」
先程とうってかわり、主導権は俺だ
すこし気分がよくなり
ずいっと強気でつめよる
「だ、だって…お前に頼るの、情けない、じゃん」
ぼぞぼそと小さな声でつげる
「んなことねぇよ
お前、強いらしいし
ただ、面倒事はしてほしくないからな。俺のために頼れ」
珍しく弱気な凛の頭をポンポンと撫でる
「ホントに強かったら、あいつらも倒せたのにな」
撫でられたことに驚きながらも、拒む様子はなく
冗談めかして告げる
確かに勝てるに越したことはないが…
「んな必要ねぇよ
タイマンで勝てりゃ充分だ」
「…サンキュ」
ニッと笑って言えば、
俺に励まされるだなんて思ってもいなかったのだろう
照れたような面食らった顔をしていた
笑えばコイツ可愛いのにな…
そうだ、これだよ
「お前、目付きが悪いんだよ
ニコッとしてりゃ、取っつきやすいのに」
くいっと自分の目をつり上げ凛の真似をしてみせると
苦笑しながらそんなにつり目か?と首をかしげながら聞いてくる
その様子がまた実に可愛いのだ
「なんか、喧嘩売ってますって感じ」
「まじかよ」
凛の仕草に思わず笑みがこぼれれば
それにつられたのか凛も笑う
「お前、そんな顔できたんだな…」
いつも喧嘩腰の凛の意外な一面を
自分だけが知っていると思えば自然と笑みがうかぶ
そんな顔ってどんな顔だよって笑いながら
自分の顔をペタペタさわる
んなことしてもわからんだろうて
「笑わないと思ってたからさ
いつも睨んでるじゃん」
今度は睨んでみせると凛は吹き出した
「俺だって笑うっつーの
…………たまに」
「たまになんだ?
なら俺はラッキーだな」
自分が笑うのは俺だけだと言われているようで嬉しくなる
そうじゃないとわかっているけれど
「なんでそれでラッキーなんだよ」
「滅多に見られないものをみたならラッキーだろ?」
「そうだけど…
俺の笑顔みて喜ぶとか変わってんな」
苦笑しながらも満更ではなさそうな顔をする
だから思わず俺は___
「だって俺………
ぇ、あ、いや!なんでもないっ」
「そう、か?」
必死に首をふりなかったことにする俺に
凛は、ありがたいことになにも追求しなかった
俺は、何を、言おうとした?
まさか、そんなことはあり得ない
あり得てたまるか
俺はそっと喉元まででかかったその言葉を飲み込んだ
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