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海斗side.
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『もう、壊れた会長は見せないでよ』
そう言った平野の横顔が、やけに大人びて見えた。
それが、平野が”先輩”っていう立ち位置にいるからか、俺はおろか、昴よりも頭一つ分、身長が高いからか。そうだ、平野はずっと、”先輩”で。
首が痛い、目も。
鼻の奥がツンとして、本当は泣き出しそうだった。
(そばにいるよ)
平野はとうに「先に戻んね」と後ろ向きに手を振ってみんなの待つテーブルに戻っていった。出て行く際に平野が引いたドアの無機質な音が、今も頭に響いている。
(そばにいるよ)
好き。
俺が昴に抱く、その感情よりも。
もっとずっと大きくて、もっとずっと苦しくなるような思いを、今まで背負ってきた人。
壊れた昴を、何も言わず見守ってきた人。
(離れないから。ずっとずっと、そばにいる)
泣くな、俺。
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