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コンコン、と。
病室に、ノックの音が響く。
誰が来たかは、もう知っていた。
「どうぞ」
ガチャ、と音を鳴らして白いドアが開く。
あぁ、やっぱり。
「おはよう、昴」
完璧な笑顔。
中性的な声。
全てが、完璧。
なのに、その中に無邪気さが見え隠れしているその人は。
「おはよう、佐伯くん」
佐伯海斗という、高校生。
「佐伯くんじゃなくて、海斗」
少しムッとして言う佐伯くん・・・じゃなくて、海斗。
名前で呼ぶのは、まだ慣れない。
『俺と、付き合って欲しい』
『・・・・・え?』
あの日から、もう一週間が経った。
突然の告白に驚いている間に、強制的に付き合うことになって。
なんでって聞いたら、
『・・・・俺の言うことは絶対、だから』
そう、切なげに笑って。
消えてしまいそうだと、思った。
このまま僕が断れば。
「そんなの知らないよ」と、繋がった手を振り払えば。
この人は、そのまま消えてしまいそうで。
だから、従った。
僕は、この人と・・・海斗と、付き合うんだ。
なぜだろう、それが。
どうしてかはわからないけれど、嫌じゃなくて。
一方的に繋がった、手の感触が。
なんとなく、知ってるものだったから。
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