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「白雪姫ってさ、」
「ん?」
「白雪姫は、本当は起きてたんだと思うんだ」
なんとなく白雪姫の絵本が読みたくなって、父さんに持ってきてもらった。
本当になんとなくだけれど、似てる気がしたんだ。
自分、と。
「なんで?」
きょとんとした顔で不思議そうに聞く海斗。
なんだかおかしくて、ふ、と笑いがこぼれた。
「死んだフリをして、王子様に気付いてもらいたかったんじゃないかな」
乙女思考な自分に笑える。
でも、そうとしか思えなくて。
「死んだフリをしてでも、王子様に愛して欲しかったんだと思うんだ」
そう言うと、海斗は目を見開いた。
何かに気付いたっていう顔をして。
「・・そ・・・・か、」
「・・?うん」
「・・・・・・あのさ、」
涼しい風が病室に流れる。
それは肌を滑って、白いカーテンを揺らした。
「好きなのに、なんで死のうとしたんだと思う?」
その言葉は、悲しみを含んでいるようで。
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