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そうだ。
きっと、そうだった。
その人は、きっと閉じ込めたかったんだ。
だから、死のうとしたんだ。
だって、僕ならそうする。
好きで、好きすぎて、殺してしまいたくて。
それでも、好きで。
殺せないんだとしたら。
・・・自分が死ぬしか、ないから。
「・・っ・・・・・、ぅ、」
「・・・え、海斗?」
鼻を啜る音が聞こえて、顔を上げると。
海斗が、泣いていた。
「海斗、どうしたの?」
綺麗だと、思いながら。
この人の流す涙は、とても綺麗で。
キラキラして、チカチカする。
この感情は知っている。
「・・ぅ・・・っ、」
「・・・海斗?」
今すぐ。
今すぐ、泣いてる君の、体を抱き締めて。
君が、安心するように。
泣き止むように。
慰めてあげたい。
この感情は、知っている。
折れた両足と、痛む体が邪魔をして動けない。
もどかしくて、嫌だ。
苛々して、嫌だ。
情けなくて、嫌だ。
頼りなくて、嫌だ。
「・・泣かないで」
この感情は、知っている。
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