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海斗side.
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「記憶喪失って、なに?」
そう聞く昴が、哀しく見えた。
昴は記憶喪失で。
でも、本人はそれを知らなくて。
それなら、俺は。
俺には、なにができるって言うんだろう。
毎日病室に通うこと?
でもそれでなにがある。
毎日昴に好きだと言うこと?
でもそれでなにが変わる?
何も変わらない。何も起きない。
そんな意味の無いことをしたって、昴がなにを思い出すわけでもないのに。
俺はなにをしてるんだ。
俺 は。
俺は、一体。
俺は、なにがしたい?
「・・・・今日はもう帰るわ。混乱させたみてぇだし?」
藤間が囁くように言った。
返事をしない昴をしばらく見てから、ドアのほうに歩いて行った。
「何してんだ?」
その様子を眺めていると、藤間が振り返って俺に言った。
「お前も帰るんだよ」
「・・・・・・・・・え!?」
訳が分からず戸惑っていると、舌打ちをした藤間に腕を引かれ無理矢理病室を出された。
慌てて昴のほうを振り向くと、昴はこちらに目もくれずぼーっとしていた。
「っ・・・・、」
チクリと、胸が痛んだ。
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