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海斗side.
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「・・・・落ち着いたかよ」
赤くなった頬に手を当てながらそんなことを言う藤間。
呆気にとられた。藤間がそんなことを言うなんて、思いもしなかったから。
・・・落ち着かせて、くれたんだな。
「・・・・・・・ありがとう」
謝らない。藤間のキスに、嫌だと思ったのは事実だ。
だから、俯いてありがとうとだけ言った。
藤間がああでもしてくれないと、俺はきっと止まらなかった。
藤間が回りをぐるりと見回すと、野次馬は自らの目的地まで歩き出した。
・・・・・藤間に睨まれたら、怖いもんなぁ。
「・・・・・性欲処理具としか、思ってなかったんだよな」
「・・・・は?」
性欲処理具としか思ってなかった。
その言葉に驚愕して顔を上げると、藤間は俺から顔を逸らすようにして遠くを見つめていた。
その様子は、どこか寂しげで。
「だって俺、ゲイだもん」
「・・・・え、お前ゲイだったの?」
知らなかった。
いや、男に平気でキスするくらいだから、女でも男でもいけるぜ!みたいな感じかと思ってた。
正直に聞くと、は、と口角を上げた。
「そーだよ。俺、ゲイだけど。そんな奴、本気で相手にする奴とかいねぇじゃん」
お前と早坂は違ったけど、と付け足す藤間。
その表情は、少し自嘲気味に笑っていた。
「男と付き合ったこともあったけどさ。結局、突っ込まれたいだけのドM野郎だったんだよな。ネコになったこともあるけど、だめだな。痛ぇだけだし、全っ然勃たねぇし」
「・・・・」
「何がいいんだかって思ってた。ゲイなんてそんなにいるわけでもねぇし、見つけても遊ばれて捨てられるだけだろ」
「・・・・藤間・・・?」
待て。
待て待て待て。
冗談にも程がある。
「俺、いっつも捨てられる側だもん」
なんでお前、泣いてんの・・・?
「どうしろっての。捨てられても捨てられても、男しか好きになれねぇんだ」
「・・・藤、」
「そろそろ保健所行きかなって、思ってた。
だってさぁ、俺まるで忠犬じゃん。
飼い主何度変わっても嫌いになれねぇんだからさ。
どうしようもないくらいの変態相手にして傷だらけになったこともあったし、
逆に傷だらけにしたこともあったけど。
それでも俺、捨てられる側なんだ。
ダンボールに入れられてそこら辺に置いてかれんだ。
新しい飼い主なんてすぐ見つかったけどさ。
街フラフラしてたら声かけられんだもん。そんで俺、保健所行きとかごめんだからついてくんだ。まぁ、そっからはわかるだろ。突っ込んで、たまに突っ込まれて、終わりだ。何度かヤッたらまた捨てられんだ。
相手が満足したら、俺が満足してなくても終わりなんだ。
そこまでされたらさぁ、保健所行きのほうが楽かなって思うじゃん。
車に轢かれて死ぬとか、痛いのは嫌だけどさ。
俺一応、人間だからさ。痛いのやだとか、そういう感情はあるんだよ。一応。痛めんのは平気だけどな。
でも保健所だと楽に死ねんじゃん。苦しむことないじゃん。
だからさぁ、保健所連れてってほしいんだよ。誰でもいいからさ。
まぁ、連れてかれる前にやることあんだけどさ。
捨てられる側の気持ちは十分味わったんだし、
捨てる側の気持ちになってみたいって思うじゃん」
紡がれる言葉に、返す声が出ない。
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