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海斗side.
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藤間がそんなこと考えてたなんて思わなかったんだ。
そんな辛い過去があるなんて、一切思わなかった。
人の気持ちを考えない、最低な奴だとしか。
そうとしか、思ってなかったんだ。
「・・・・・藤間・・、」
でも、違った。
最低なんかじゃない。
人の気持ちを考えないわけじゃ、ないんだ。
藤間が今まで捨てられる側だったのは。
捨てることができなかったのは。
捨てられる側の気持ちを、よく解ってるからで。
きっと捨てれなかったんだ。
自分と同じように、辛い思いをさせたくなかったんだ。
捨てる側になってみたい、なんて。
そんなの、なれるわけないって解ってんだ。
藤間が乱暴に涙を拭って、俺に向き直った。
やっぱり、まだ自嘲気味に笑っている。
「そんな時に知ったのが、早坂昴っていう男の存在だ」
「・・・す、ばる?」
「あぁ。確か、高校入学したての頃だったな」
藤間が言うには、昴は入学した時からずっと女子から黄色い声を浴びていたらしい。
昴は近寄り難い雰囲気を醸し出してたから、陰でこっそり、らしいけれど。
昴は整った顔をしているから、モテるのも当たり前だろう。
それでも近寄り難かったのは、きっと過去の出来事も関係してるんだろうな。
「・・・・・おい」
「?」
「どうせ”昴が女子に取られなくて良かったー”っていう乙女みたいなこと考えてんだろうけど、やめろよそーゆーの。気色悪ィ」
「思ってねーよそんなこと!!」
藤間が変なものを見るような目で俺を見る。
おい、さっきまでのシリアスな雰囲気は一体どこに。
・・・いや、まぁ、一瞬でも考えなかったって言うと、嘘になるんだけど。
「冗談だよ、冗談」
はっと鼻で笑いながら言う藤間。
あの、冗談と思えない上にすごい馬鹿にされてるような気がするんですけど。
気のせいですかね。
「ほんとに思ってねぇから!!」
「どーだか」
「思ってねぇっつの!!」
「俺は思ったよ」
「っえ・・・、」
突然の言葉に驚いて息が詰まる。
俺は・・・思った?
「・・え・・・なん・・・、」
「俺は思った。早坂が女子に取られなくて良かったって」
「・・は・・・・?」
「男だと奪いやすそうじゃん」
「・・・・・え?」
何を、言ってるんだ?
藤間は、一体・・・何を。
「俺は早坂のことが好きだよ。
お前らが出会う、ずっと前から」
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