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藤間side.
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「相手がどんな人であれ、傷つけるのは”許されない行為”なのにね」
「・・・・・・」
「この世界に生きてる人は、みんな”不良”だ」
「・・・・っ、」
もう、やめた。
ぐだぐだ考えんのは俺らしくねぇし。
「・・・・・・早坂」
「なに?」
俺が立つと、パイプ椅子がギシ、と小さく鳴った。
いきなり立ち上がった俺を、早坂はやっぱり表情は変えずに。それでも、不思議そうな顔で見ている。
今から俺がすることは、今までずっと自分がしたかったことで。
だけど、自分の気持ちとは裏腹な行為だ。
「藤間?」
ぐいっと早坂の腕を強く引っ張って立たせる。
俺は、俺の名前を呼ぶ声を無視して早坂の背中を強く押した。
「っ!?」
ガンッ!と大きな音が響く。
突然のことに、早坂も身動きが取れなかったのだろう。
早坂はうつ伏せのまま、机の上に横たわった。早坂が起き上がろうとする前に、両手で早坂の手首を押さえつける。
片足で足元にあるパイプ椅子を蹴ると、ガシャッ、と勢い良く倒れた。
「・・・・・藤間」
今の状況を理解したのか、落ち着いた声色で俺を呼ぶ早坂。
さっきまで驚いてたくせに、いざとなると動揺の欠片も見せねぇんだな。
「何、する気」
相変わらず抑揚の無い声。
そんなところすら、今は誘われてるように感じた。
はっと笑って、口を動かす。
「ベラベラ正論振り翳しやがって。そういうの、一番ムカつくんだよ」
違う。
「俺は綺麗事が嫌いなんだ」
違う。
「汚ねぇ綺麗事撒き散らして偽善者ぶってんじゃねぇよ!!」
―――嬉しかった、はずなんだけどな。
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