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海斗side.
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喉を押されてるようだ。
苦しくて、声が出ない。
「それで、早坂のことが好きだって気付いたんだ」
そんな俺を無視して藤間は話し続ける。
藤間の発する言葉は、まるで棘のように俺の中に刺さった。
そこから血が滲んでいくようで、痛い。
「遊びじゃなくて、本気で。俺は早坂のことが好きだよ」
声が、浮く。
周囲には沢山の人がいて、騒音が響いているはずなのに。
真っ黒で、何も無い。
そんな世界に、藤間と二人きりでいるような感覚になる。
藤間の声だけが、響く。
藤間の声に、堕ちていく。
真っ暗な底へ。
そんな感覚。
「お前は、本当に早坂が好きか?」
その問いにギクリとした。
どうしてかは解らないけれど、どうしてだろう。
不安に、なってしまった。
「・・・・答えろよ」
「・・・・・・っ、」
「お前の気持ちはその程度かよ」
「っ!」
責め立てられる。
「好きだって即答できないほど、軽い気持ちだったのかよ」
静かに、響く声。
違う。軽くなんかない。
俺は、昴のことが好きだよ。
好きで、好きで。
早く俺のことを、思い出して欲しくて。
だから、毎日病室に通ってるんじゃないか。
「っ・・・・・、」
でも。
でも、この気持ちは。
この、気持ちは。
”本物”か?
俺は本当に昴が好きか?
好きだよ。
昴の、どこが好きだ?
・・・・わからない。
どうして?
前は簡単に浮かんだ。
昴のどこが好きかなんて、簡単に浮かんだ。
優しいところ。
笑顔が綺麗なところ。
俺が不安になったら、安心させようとしてくれるところ。
繋いだ手の感触。
滑らかな口調。
低い声。
笑ったときに細める両目。
柔らかい茶髪。
全部、全部。正解だけど。
全部、全部。
間違ってるような、気もするんだ。
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