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海斗side.
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「・・・・・・・・・・・・・・そんなんなら、俺に譲れよ」
藤間の声が、頭の中に反響する。
それは重く、鉛のように全身に圧し掛かった。
ずしり。重たくて、身動ぎ一つできない。
「自分の言いたいこと、何一つ言葉にできねぇなら。自分の気持ちに自信が持てねぇなら」
そうじゃ、ない。
そうじゃないんだ。
「さっさとあいつを手放して、俺に譲れ」
譲 り た く な い 。
違う、違う。
確かに、俺は自信が持てない。
今回の事故や、昴の記憶喪失。昴が、あんなに痛い思いをしたのは俺のせいだ。
俺が弱いからだ。
俺が、自分の意思を持つことができないからだ。
でも、だからって。
「・・・・・でき、ない」
昴を手放す、なんて。
俺に、できるわけなくて。
「・・・俺は、まだ、・・昴を好きだって、堂々と言うことはできないけど、」
昴が、好きで。
それでも、昴が好きで。
ずっと傍にいたくて。
「絶対、思い出させるって、決めた」
それでまた、俺に好きだと言って欲しい。
「絶対俺の事を思い出させるって、決めた。それ以外はどうでもいい」
昴がまた俺を好きだと思ってくれるのなら。
俺は、もう。
それ以上、何もいらないって、思えるから。
「だから、譲れない。
・・・・・・・譲らない」
昴は、俺のモノだから。
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